葉月あや 2019年5月2日号

〈企業・経済深層レポート〉 イオンが仕掛ける業界再編 淘汰が加速する地方スーパーの苦悩

掲載日時 2019年02月20日 06時30分 [社会] / 掲載号 2019年2月28日号

〈企業・経済深層レポート〉 イオンが仕掛ける業界再編 淘汰が加速する地方スーパーの苦悩
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 昨年末、地方スーパーを展開する企業3社が「新日本スーパーマーケット同盟」を立ち上げ、株式を持ち合う業務提携をすることを発表した。提携する企業は、グループ店舗数が約338店舗で北海道を地盤にしている「アークス」、中部地方を拠点に860店舗を構える「バローホールディングス」、山口や九州を中心に257店舗を展開する「リテールパートナーズ」だ。

 地方スーパーの雄ともいうべき3社が、なぜ業務提携に至ったのか。流通業界関係者が解説する。
「このタイミングで地方スーパー3社が手を取った理由は、ドラッグストアの出店攻勢と同ストアの販売品目の多彩化です。ドラッグストアは従来、食料品はラーメンやお菓子などのドライフーズ、それに缶詰などをメインに扱っていましたが、今は弁当などのお惣菜や、肉、玉子、魚介類などの生鮮食品を扱う店も増えています。高齢者は医者にかかったあと、ドラッグストア内の薬局で処方薬を出してもらい、ついでに食料品やティッシュなどの日用品も調達しています。ドラッグストアであればすべてが完結するので、近年はスーパーを完全スルーする高齢者が急増しています」

 これに加えて、ネット通販の台頭、少子高齢化の影響により、売上げの減少が加速しているというのも要因だという。
「さらにイオンなどの大手流通企業が業界の再編に乗り出していて、中堅スーパーを飲み込もうとしています」(同)

 イオンは昨秋、中国地方で約100店舗のショッピングセンターを展開する「フジ」との資本業務提携を発表した。

 地方スーパーをエリアごとの再編に乗り出しているイオンは、さらに中国地方のグループ企業の「マックスバリュ西日本」、「マルナカ」、「山陽マルナカ」を経営統合する方針。この3社で約290店舗となり、先のフジと併せると中国地方には約390店舗、売上高7000億円の巨大流通グループが生まれることになる。

 イオンは首都圏でも再編を仕掛ける。2015年にイオングループのスーパー「マルエツ」、「カスミ」、「マックスバリュ関東」の3社が「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」として経営統合している。

 再編しているのはイオンだけではない。2019年には、大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が、中部地方を地盤とする総合スーパー「ユニー」の株式を全取得して完全子会社化した。ユニーの既存店舗のうち、約半数をドン・キホーテとの合併店へと転換し、落ち込んでいた集客力を立て直す。

 こういったスーパー業界の再編の嵐に、地方スーパーが手を携えて防御姿勢を強めたのが冒頭の「新日本スーパーマーケット同盟」なのだ。

 再編が進む業界ではあるが、孤軍奮闘する地方スーパーも存在する。日本生産性本部サービス産業生産性協議会の「顧客満足度指数 スーパー部門」(2018年度)にて、8年連続で1位となったのは神奈川などの一都三県を中心に112店舗を展開する「オーケー」だ。大手総合スーパー、地方スーパーが軒並み苦戦して他社と協力して乗り切ろうとする中、オーケーの2018年3月期決算の売上高は、約3573億円となり、31期連続で増収となっている。

 「オーケーの大きな特徴は『エブリデイ・ロープライス』を掲げていることです。これは、特売期間を設けず、いつでも同じ低価格で販売するというやり方です。また、地域一の安さを目指しているため、地域競合店の売価を調査している。さらに他店でオーケーより1円でも安い商品があったと客から指摘を受けた場合は、その値段よりも安くしてくれます」(業界関係者)

 オーケーの魅力は、価格面だけではない。
「『オネスト(正直)カード』と呼ばれるPOPを用意しています。これには、『長雨の影響で、レタスの品質が普段に比べ悪く、値段も高騰しています』といった正直な情報を記載して、お客に知らせています。こういった実直な面も支持される理由です」(同)

 しかし、オーケーのような例はまさにレアケース。再編の流れに乗れず、淘汰される地方スーパーの方が圧倒的に多い。

 例えば、2017年には山梨県に本社を置くスーパーマーケットの「やまと」、昨年は愛媛の「サニーTUBAKI」、同じく愛媛のスーパーマーケット「ヤマサンセンター」など地方の中堅スーパーが、ここ数年で経営破綻や経営再建に追い込まれている。

 「大手に組み込まれる地方スーパーはまだマシです。それ以外の余力がないチェーンスーパーは、かなり厳しいと思いますよ」(前出・流通業界関係者)

 再編が進んだことによって、地方スーパーの淘汰はさらに加速しそうだ。

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