仲村美海 2018年10月11日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 60代美女が演じる「変態」ムービー 『エル ELLE』

掲載日時 2017年08月24日 12時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年8月24・31日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 60代美女が演じる「変態」ムービー 『エル ELLE』

 昨今、「還暦女の私が…」と自嘲気味に話す、世にも恐ろしい形相の松居一代がワイドショーを騒がせていますが、このフランス映画の主人公ミシェルを演じるのも、1953年生まれのイザベル・ユペール、64歳。新鋭ゲーム会社のワンマン女社長という設定も容姿も、現役感バリバリ。見ているこちらも“アリだよな”と思ってしまうほどのクールな美女です。
 さらにフランス社会というのは、何歳になっても、まるで食の趣味・嗜好のように、性癖や性生活を普通にワインを飲みながら語り合うんですね。年齢とともにしなくなる草食系日本人としては、80歳超と思われるミシェルの母までもが、整形手術を繰り返しながら若い男とのアヴァンチュールを謳歌していることに驚かされます。

 日本にも「熟女AV」という特殊ジャンルはあるものの、60代女性が主人公の恋愛サスペンス映画なんてまだないですから、本作の日本版を作ってみたら意外といい味わいになるかも…と、ついキャスティングを考えてしまいました。
 大竹しのぶだとちょっとドロドロしすぎてしまいそうですが、山田太一監督の『家族はつらいよ』シリーズに出ていた夏川結衣みたいな普通の主婦役ができる人なら、大人のエロスが出てソソられるかも。

 それにしても、海外の映画によく出てくるパターンが本作にも登場します。それはホームパーティーで、円卓を囲みながらを食事をするシーン。大抵、そこで爆弾発言が飛び出し、モメ出すのですから、こんなパーティー形式はやめときゃいいのに、といつも思います。

 ところで、先日、自分はあるコンサートの「音楽プロデューサー」として選曲などを担当する機会があったのですが、演奏者の1人だったピアニストさんが、なかなかに素敵な方でした。あとで知ったのですが、62歳だったそうなのです。
 女性を年齢で判断するのは時代錯誤だとは思いますが、素直に素敵だな、と感じてしまったので、自分自身、年とともに守備範囲の年代が上がるもんなんだ、とあらためて自覚した次第。

 年齢の自覚といえば、白内障の手術を無事終えまして、見える世界が劇的に変わりました。矯正視力が1.0以上出るなんて久しぶりで、まるで8Kのテレビ画像を見ているかのよう。
 一番驚いたのは、鏡で見た自分の顔です。たるんだ頬、落ち窪んだ目、“あぁ、俺はこんなに老けたのか”とガッカリ。視力回復は喜ばしい限りなのですが、見えなくてよかったものが、はっきり見えてしまうようになりました。

画像提供元:(C)2015 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION - FRANCE 2 CINEMA - ENTRE CHIEN ET LOUP

■『エル ELLE』監督/ポール・ヴァーホーヴェン
出演/イザベル・ユペール、ロラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ、シャルル・ベルリング、ヴィルジニー・エフィラ、ジョナ・ブロケ
配給/ギャガ

 8月25日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。
 ゲーム会社のCEOを務めるミシェル(イザベル・ユペール)は、ある日、自宅に侵入してきた覆面を被った男に襲われる。何事もなかったように日常生活を送ろうとするミシェルだったが、襲われた記憶がフラッシュバックし彼女を混乱させていく。犯人が身近にいることに気がついたミシェルは、自分を襲った犯人の正体を突き止めようと周囲に探りを入れていく。しかし、自分自身に潜んでいた欲望や衝動に突き動かされ、波乱を巻き起こしていく。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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