林ゆめ 2018年12月6日号

熊本地震が引き起こすM7関東直下型! 震源は「見えない活断層」(1)

掲載日時 2016年05月17日 14時00分 [社会] / 掲載号 2016年5月26日号

 震度7が二度も発生するなど、直下型地震の恐ろしさを思い知らされた熊本地震。日本列島には確認されているだけで2000本余りの活断層が存在し、詳細が分かっていないものはさらに6000本に及ぶとされている。専門家の間では、この“見えない活断層”が熊本地震を機に動き始め、関東直下型地震を引き起こすのでは、と懸念されているのだ。

 4年ほど前、日本活断層学会元副会長の豊蔵勇氏を中心とした研究チームが調査を行ったところ、東京・JR田端駅近くから飯田橋駅付近を通り、外濠に沿って四ツ谷駅付近に至る約7キロの活断層が走っていることが判明したという(飯田橋推定断層)。
 「関東地方には関東ローム層が厚く堆積しているため分かりませんが、あちこちに地表近くを断層が走っているのです。飯田橋推定断層の周辺には、九段推定断層や市ヶ谷推定断層も平行して存在する。さらに銀座や浅草、築地、月島などにも何本か走っていると見られており、これらが連動して直下型の巨大地震を引き起こす可能性が指摘されているのです」(サイエンスライター)

 これらの断層が“推定”と名付けられているのは、地表から3キロから4キロにわたり厚く堆積物が覆い、活断層の証拠である岩盤が見えないためだ。しかし、ボーリング調査などから活断層であることはほぼ分かっているという。仮に、皇居や国会議事堂、迎賓館、霞が関官庁街の間近を走る活断層が動けば、甚大な被害が出ることは想像に難くない。

 関東直下型の地震といえば、1855年の安政江戸地震(M7)がある。約1万人の死者が出たとされるこの地震の原因は諸説あるが、いまだに明確なことは分かっていない。
 地震学者で武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏はこう言う。
 「安政江戸地震では隅田川の河口付近の被害が大きいため、そこが震源と見られるが、堆積層が厚く活断層が見えないため、はっきりしないんです。特定は非常に難しく、そういう意味ではどの地域でも活断層が眠っている可能性があるということです」

 地下に眠る“見えない活断層”が、将来起こる直下型地震の震源になっても一向に不思議はないのだ。
 冒頭の研究チームが発見したのは、上図(※本誌参照)にある9本の断層。先に挙げた飯田橋推定断層、九段推定断層、市ヶ谷推定断層、さらに皇居、二重橋近くの推定断層、銀座推定断層、築地推定断層、浅草推定断層、勝鬨橋推定断層、月島推定断層だ。
 さる地震学者が説明する。
 「断層のうち、特に数十万年から100万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを活断層と呼んでいます。発見されているものが仮に活断層とすれば、数万年の活動周期があると考えられる。3000年周期で動く熊本地震の活断層と比べれば気の遠くなる話ですが、中央構造線沿いにある断層だけに、今回の熊本地震の影響を受けないとは言い切れないのです」

 中央構造線とは、関東から九州までを貫く長さ1000キロにも及ぶ大断層。誕生の起源は、日本列島が大陸の一部だった約7500万年前、海洋プレートが運んできた陸地が大陸とぶつかった時にできた接合面と言われている。さらに、約2500万年前に日本列島が大陸から分離するが、その際、新潟県から静岡県にわたり南北に走る大断層、糸魚川静岡構造線の東側が陥没。この本州中央部、中部地方から関東地方にかけての地域をフォッサマグナと呼ぶ。
 「中央構造線は、フォッサマグナのところで北に上がり切れている−−。かつては、そういう見解が有力でしたが、今では関東まで延び、茨城県の鹿島まで達しているというのが有力です」(前出・島村氏)

 関東と九州は中央構造線が地表面に現れないため正確な位置ははっきりしていない。しかし、東京直下の活断層近くを走っていることは間違いなさそうだ。
 「阪神淡路大震災は、中央構造線近くで発生した直下型地震として特筆に値します。また、地震が起こると震源となった断層に溜まっていたひずみは解消されますが、逆にその周囲や延長線上にある断層のひずみが増えることがある。その影響は、離れた地域にも及ぶことがあります。東日本大震災の直後にも、遠く離れた静岡や長野でM6クラスの地震が発生している。そうして見ると、中央構造線上で起きた大地震が東京に伝播しても不思議ではないのです」(前出・サイエンスライター)

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