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〈目からウロコの健康術〉 飲み方次第で毒にも薬にもなる!?「お酒」との正しい付き合い方

掲載日時 2019年01月31日 12時00分 [健康] / 掲載号 2019年2月7日号

 「酒は百薬の長」という諺があるように、「適量の酒は健康によい」と昔から長らく信じられてきた。「お酒を飲んでも一晩寝れば大丈夫」「二日酔いもへっちゃら」と思っている人も多いのではないだろうか。

 しかし近年、「飲酒は健康にとってデメリットである」との報告が世界研究機関で相次いで出されている。WHO(世界保健機関)も昨年9月、アルコールが原因で死亡する人が毎年、世界で300万人を超えるという統計を発表し、各国に対応を促した。

 日本でも、こんなデータがある。警察庁が’16年に起こった飲酒死亡事故を調査し、酒を飲み終わった時刻から死亡事故発生時刻の経過時間が分かっている当事者113人を調べたところ、うち7人が5〜9時間たった後に事故を起こしていた。さらに「9時間以上」だった場合も2人いた。

 NPO法人『ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)』の関係者はこう語る。
「一瞬で人生が変わるのが飲酒運転。自己流の判断で大丈夫と思い込み、飲酒の量の目安や分解時間の知識がないまま、突っ走った結果が悲劇を生みます」

 厚生労働省では、「節度ある適度な飲酒」の量を、1日平均で「純アルコール20㌘程度」としている。ビールで換算すると中瓶1本、ウイスキーやブランデーならダブルで1杯。『ASK』ではこれらを「1単位」とし、飲酒量と分解時間の目安を作成。実際には体形や体質などに左右されるが、1単位分を分解するのにかかる時間を「男性は4時間、女性は5時間」として啓発している。

 アルコール依存症の治療で知られる横須賀市の久里浜医療センターによると、アルコールの分解は肝臓、心臓、筋肉などの働きに左右されるという。女性が男性より分解に時間がかかるのは、一般的に男性よりも体が小さく、肝臓のサイズもそれに比例することや、体脂肪が多いことなどが原因として挙げられる。

 また、体内の水分量が少ないと血中のアルコール濃度が高まり、特に加齢で体内の水分量が減る高齢者は注意が必要という。厚労省でも、水分補給とともに女性や65歳以上の高齢者は、20㌘よりも少ない飲酒を推奨している。

 一方で、「多量飲酒」に目を向けると、純アルコール60㌘以上は、ASKの計算によると3単位となる。例えば、ビール中瓶2本、酎ハイ(アルコール度数7%、350㍉㍑)を3缶飲めば5単位となり、女性であれば、分解のために約25時間が必要となる。

 では、多量飲酒に繋がる飲み方を、どうすれば和らげられるのか。この点について、専門家の1人は「酒のおつまみに、ひと工夫すべきで、それによって酔い方も違ってくる」という。

 アルコールは体内に入ると、胃で2割、小腸で8割吸収され、肝臓でアセトアルデヒドから酢酸に分解される。胃に何もないと、多く吸収される小腸に速く移動してしまい、急激に血中濃度が上がってしまう。食べ物が入っていれば、アルコールと混ざり合って消化されるため、吸収は緩やかになる。

 つまみではないが、「肝臓機能を高める」とされるショウガの仲間「ウコン」も酒のお供として人気がある。だが、日本栄養専門学校の浅尾貴子准教授は「二日酔いに効くイメージに明確な根拠はない」という。

 チーズなどタンパク質や脂質を含んだ食べ物は、粘膜を傷つけにくくするメリットがあると言われる。胃で消化されるのに時間がかかるため、胃にたまり、アルコールの濃度を低くする事ができるためだ。

 しかし、つまみをまったく食べずに飲むのは健康的な飲み方とは言えない半面、多く食べすぎてしまう危険もある。

★カロリーオーバーに注意!
 前出の浅尾氏はこうアドバイスする。
「酔って判断能力が落ち、満腹感をコントロールする力が落ち、食べすぎる可能性がある。ですから、つまみを『別腹』扱いしてはいけません。1日の食事全体のバランスで考えて選んでください」

 例えば、1日に必要なエネルギー量が2000キロカロリーとすると、1食当たりは600〜700キロカロリー。ビール中瓶1本や日本酒1合は約200キロカロリーで、3本も飲めばすぐカロリーオバーとなってしまう。
「飲酒する予定があるときは、朝・昼で食事量を調整することが大事になります」(浅尾氏)

 またアルコールは高カロリーだが、栄養素は少なく、つまみを選ぶときはビタミンやミネラル、タンパク質、炭水化物をバランスよく摂るように心掛けること。そして飲み始める前に、つまみ全体の構成を考える必要もある。特に塩分の摂りすぎには気を使いたい。

 アルコールには利尿作用があることなどから、塩味が多い物を好む人が多い。あるビール会社が行った約4300人へのインターネット調査では、飲酒するときに「つまみを食べる」と答えた人で「塩味の効いたもの」を選ぶという人が36・5%を占めた。

 例えば、刺身にはシソを巻いたり、わさびを増やしたりし、風味をプラスさせて、しょう油の量を減らすなどの工夫ができるので、研究して欲しいという。

 最近、日本航空のロンドン発羽田行き便に乗務予定だった男性副操縦士(42)から、法定基準を大幅に上回るアルコールが検出、現地の警察に拘束された。同社によると男性は飲酒後、約20時間たっていたが、前夜にワイン2本、瓶ビール3本、缶ビール2本を飲んだと話している。

 こうした類の人は、「仮眠すれば、大丈夫。二日酔いにはならない」とし、「サウナに入る」「コーヒーを飲む」など“自己流の酔い覚まし”を解決策とするなど、誤った知識で判断する人が多い。

 だが、「仮眠の場合、眠っている間のほうが覚醒時より分解スピードが遅くなり、十分時間を取ったつもりでも、起床時にアルコールが残っている可能性が大きい」と専門医は言う。

 また、週に1、2日はお酒を飲まない「休肝日」を設けることも必要で、専門医も次のように提案する。

 「毎日お酒を飲み続ける人は、休肝日のある人に比べ死亡リスクが1.8倍高いという報告もあります。お酒自体がその原因になる可能性も理解しておく必要があります。肝臓病や脳卒中、習慣飲酒が原因の高血圧、肥満に伴うものも多いので、注意が必要です」
 楽しいはずの飲酒が悲劇にならないよう、まずは適量、次に休肝日を設けるなど、日頃から気を付けたいものだ。

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