菜乃花 2018年10月04日号

減少は疾病リスクを増やす! 健康長寿の源・テストステロンの働き

掲載日時 2018年06月10日 08時00分 [健康] / 掲載号 2018年6月14日号

 男の医学を考える時、最も重要な役割を持つのが男性ホルモンと言われる。男性ホルモンにはいくつかの種類に分けられるが、その中で代表的なのものが「テストステロン」だ。
 そもそも、テストステロンとはどういうものか。都内クリニック専門医がこう説明する。
 「男の睾丸(精巣)で作られる男性のホルモンの95%を占めるテストステロンは、役割としては生殖機能の向上、性欲の増進、ヒゲ、体毛の成長、筋肉や骨格の形成などがあり、男性の成長には不可欠かつ、人生そのものにおいても大きな働きをします。他にも造血作用を持ち、血管やコレステロールにも関係し、内臓脂肪を減らす作用をする。テストステロンの血中濃度が低い男性は、メタボリックシンドローム症侯群(内臓脂肪症候群)のリスクが3倍ほど高くなるとの報告もあるのです」

 このテストステロンの元となっているのは、内分泌器の副腎から出る、DHEA-Sという男性ホルモンだ。
 「その血中濃度が高い人ほど、健康寿命が長いことが統計上でも明らかになっています。テストステロンの量は、20代をピークにして年齢とともに低下していき、少なくなると性欲の減退、ED、筋肉量の低下、睡眠障害、集中力や記憶力の低下を起こす。日常生活でも、些細なことでイライラしたり、やる気がなくなるなど、男性更年期の症状が表れる人も少なくないと言われます。また、テストステロン値の低い人は、高い人に比べて死亡リスクが33%も高いことが分かっている。心血管疾患や糖尿病にもなりやすく、寿命が短くなってしまうのです」(同)

 テストステロンは、男性の活動において、精神的な面とも直結している。社会の中で自分を表現する能力に関係があるとされ、テストステロンがあるレベル以上になると言語能力も高くなるという専門家もいる。そのため、画家や役者、音楽家といった芸術分野のみならず、一般人においても非常に大きな働きを果たしているのだ。
 「男性は男性どうしで、相手の男性ホルモンの量を嗅ぎ分ける力を備えているとされ、ホルモン値の高い人を支持する傾向にあるという。不思議な話ではありますが、テストステロンには人を惹きつける効用も備えているということです」(健康ライター)

 脳の中には“報酬系”と呼ばれる神経回路があり、“幸福感”や“やる気”を引き起こす役割を担っている。報酬系が出す幸福感の元は、ドーパミンという神経伝達物質だが、これを出すように仕向けているのが、ほかならぬテストステロンだ。スポーツの試合で勝ったり、自分の努力が評価されたりすると大きな幸福感に浸れるのは、こうした働きによる。
 「男性は、そのような感情が健康長寿にも繋がるとあって、テストステロンは最も重要なホルモンと言えます。テストステロンの値は血液検査で簡単に分かります。健康な男性の場合、血中遊離テストステロン値が、16.2pg/ml以上であれば正常で、8.5pg/ml未満では、ガイドラインで補充治療が必要と判断される。定期的にチェックすることをお勧めします」(前出・専門医)

 東京都健康長寿医療センターの関係者は、テストステロンの増やし方について次のように語る。
 「増やすにはいくつかの方法がありますが、まず食べ物で言えば玉ネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなどのユリ科ネギ属の植物に含まれる『含硫アミノ酸』に、テストステロンを増やす効果があることが科学的に検証されています。ただし、玉ネギは切ってから時間が経つと含硫アミノ酸を分解してしまう酵素も含まれていることから、切る前に丸ごと電子レンジで加熱して酵素を分解してから調理するか、生で食べるのがいいでしょう。また、変性したテストステロン(ディハイドロテストステロン)が多くなると前立腺がんのリスクになるため、増やしたテストステロンを変性させないためにも、亜鉛や豆腐などの大豆食品を摂取しましょう」

 アミノ酸は、テストステロン増量の鍵となる。
 「運動した際の筋肉の疲労を軽減したり、筋肉を作り出す働きをするからです。アミノ酸には非必須アミノ酸と必須アミノ酸があり、重要なことは人間が体内で作ることができない必須アミノ酸を積極的に摂取すること。つまり、たんぱく質を多く含んだ食事を摂ることです」(前出・健康ライター)
 そのたんぱく質を多く含む食品は、牛肉や豚肉、鶏肉、卵、マグロなどの赤身の魚、卵、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品などだ。

 一方で、EDの治療薬として知られるバイアグラの服用を勧める専門家もいる。
 「バイアグラはPDE5阻害薬と呼ばれる薬で、シリアス、レビトラなども同じ種類にあたります。このバイアグラを週1回、半年間服用を続けると、6カ月後にはテストステロンが2倍に増えることが分かっている。加えて、同じく週1回の服用で体を錆びさせる活性酸素の量が、3分の1に減ったとの研究も報告されています」(専門家)

 ほか、漢方薬の中にもテストステロンを増やすものがあるという。
 「牛車腎気丸、補中益気湯、八味地黄丸の3種類で、8週間程度服用することで分泌が高まることが知られています」(漢方薬店員)

 テストステロンというホルモンは、チャレンジ精神や競争心などの行動を活性化させ、数値が高い人ほど冒険心があって判断力に優れていると言われる。さらに、公平性を重視し、仲間を大切にすることから、人に慕われるリーダーになりやすい資質があるとされ、企業経営者や政治家に多い。
 こうした優れた人を生成するテストステロンを増やす行動は、我々の普段の生活の中にもある。
 「例えば、野球でもサッカーでも、強いチームのファンになればテストステロンを増やす機会が多くなるのです。また、日常生活の中に赤い色のものを身に着けると、通常よりテストステロンの分泌が高くなることも分かっています」(前出・健康ライター)

 いずれにしても、テストステロン値が低下した場合には、加齢に加えて疾病を抱える人が多い。
 「朝起きてもしばらく時間が経たないと体が動かない、普通に立っているだけなのになぜか汗が出る、以前はアクティブに動いていたのに仕事が休みの日も外出するのがおっくうになった…など、40代あたりから、そうした症状が出る。そのまま高齢を迎えた時に弱い体にならないためにも、早い段階から自分のテストステロンの値を知り、対策を取るべきです」(前出・専門医)

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