オリンパス上場維持へ 政府・東証のあきれた思惑(1)

社会・2012/01/26 11:00 / 掲載号 2012年2月2日号

 オリンパスの巨額損失隠し問題に関し、「菊川剛前社長ら現旧経営陣19人に責任があった」とする調査報告書が公表された。ところが東京証券取引所は、それでも上場維持の“お墨付き”を与えようとしている。

 企業の上場審査や市場を監視する「東証自主規制法人」が関係者に行った聞き取りの結果、損失隠しが一部経営陣の独断で極秘に行われたものと判断し、1月中にも上場維持を決定する見通しだが、全くお咎めなしでは世間の反発を招くのは必至。そこで、市場の信頼を損ねたことから「上場契約違約金」1000万円の支払いに加え、社内の管理体制や情報開示に問題があったことを投資家に周知徹底させる「特設注意市場銘柄」に指定。3年以内に社内の管理体制を改善しなければ上場廃止できる、事実上の“執行猶予”とする落としどころを模索しているのだ。
 「新年早々、各紙が競うように『オリンパス、上場維持へ』などと報じたのは、世間の反応を探りたい東証の意図的リークに決まっています。この報道で株価が急騰したように、日本航空やライブドア、西武鉄道の場合のような株主責任をウンヌンする声はトーンダウンしました。何としても上場を維持させたい東証首脳は、このアナウンス効果に内心ニンマリしているでしょう」(市場関係者)

 過去10年余にわたって組織的な“飛ばし”に手を染め、1350億円に及ぶ簿外損失を抱えたオリンパスがセーフになれば、株主責任を厳しく問われて紙クズを掴まされた市場追放組の株主こそ浮かばれない。まして西武鉄道は、大株主の保有株を巡る虚偽記載での一発退場だった。オリンパスの悪質さは比ではないだけに、今回の決断の舞台裏における関係者の秘めた思惑が見え隠れする。

 マネースキャンダルを追求した揚げ句、寝首をかかれるようにして失脚したマイケル・ウッドフォード元社長は1月6日、3〜4月にも予定されている臨時株主総会での現経営陣との委任状争奪戦を断念すると発表した。復帰に意欲を見せていた同氏がファイティングポーズを解いたのは、国内主要株主が自らの復帰を含む独自の役員候補案に難色を示し、争奪戦を仕掛けても勝算が薄いと判断したからに他ならない。
 「米国の投資ファンドなど一部の株主はウッドフォード氏復帰を歓迎していますが、国内の機関投資家は大半が距離を置いている。日本では馴染みが薄い委任状争奪戦へのアレルギーもあるでしょうが、それよりも彼が復帰すれば資本増強のドサクサに紛れて海外企業の発言力が強まり、乗っ取られてしまうと恐れているからです」(証券記者)

 オリンパスは損失隠しに伴う決算訂正で資本が大きく目減りした。そこで1000億円規模の資本増強を計画している。同社は世界の内視鏡市場で4分の3という圧倒的シェアを誇っており、医療分野の強化を目指す内外企業には垂涎の的。資本参加を機に業務提携で風穴を開ければ経営へのグリップが一気に強まる。野心に満ちた会社が舌舐めずりしないわけがない。

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