〈目からウロコの健康術〉 放置すると重症化する恐れが!? 油断できない夏の「冷え症」

健康・2019/07/11 12:00 / 掲載号 2019年7月18日号
〈目からウロコの健康術〉 放置すると重症化する恐れが!? 油断できない夏の「冷え症」

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 梅雨明けが終わると、本格的な夏が襲来。連日、35度前後の猛暑に悩まされることもある。そんな時、暑いからといって寒さを感じるほどクーラーをつけたり、冷たい飲み物を摂り続けていると、体温が下がり“冷え症”に陥る。

 冷え症になると、体の免疫力が落ちてしまい、風邪はもちろん、動脈硬化や脳卒中など、かなり危ない病気を引き起こす可能性が大きくなるのだ。

 一般的に冷え症といえば、女性特有の症状と思われているが、実は男性にも“冷え”による体調不良を訴える人が最近は増えている。

 猛暑で大量の汗をかき、水分補給も怠りなくしているのに、「疲れが取れない。体がだるくて食欲もない。夜間の睡眠も取りにくい」といった暑さがもとの夏バテ特有の症状を訴え、仕事の能率低下、出勤するのも辛いと言う人が多いのだ。

 ところが、こうした猛暑の裏に、真逆ともいえる体の冷えが大きく関わっていることが明らかになると、暑さ対策、熱中症予防だけでは済まされない深刻な問題があることを知っておく必要がある。

 ある保険会社の男性外交員Bさん(48)は、仕事がら外回りが多い。猛暑の中でも顧客を訪ね歩くなど、汗だくの日が続く。当然、十分な水分補給や涼しい場所で休憩を取るなど、暑さ対策には人一倍気を使っていた。

 しかし、毎年のことながら7月〜8月下旬までは、夏バテ現象に陥り、食欲も細く、気分が滅入る状況になる。そこでBさんは、思い切って自宅に近い掛かりつけのクリニックを受診してみた。そして、最初に医師からこう言われたのだ。
「あなたは暑がりでしょう。昼間の暑さ対策はしているようですが、夜寝ている間に問題があるようです。クーラーをつけっ放しとか、裸に近い状態で眠ってはいませんか? それだと体が冷えてしまい、おかしくなります」

 Bさんは、家で晩酌もする大のビール好き。それに昔から、パジャマを着るのが苦手なタイプ。上半身裸か、ランニングシャツ姿で寝てしまう習慣があった。

 結局、Bさんは医師から処方された薬を飲み続けた結果、症状は改善し、2週間ほどで体調は戻った。Bさんは反省を込めながら「夏は熱中症対策も大事ですが、冷えも怖い。これからは生活習慣も改め直し、冷房の使い方にも十分注意が必要ということが分かりました」と語っている。

 冷え症は、体に様々な弊害を起こす。専門家によれば、体が冷えると血管が収縮し、血液の流れが滞る。本来は血液というのは全身の細胞に酸素や栄養素を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する役割を担っている。

 ところが、その役割が体の冷えなどによって低下。細胞が合成や分解を正常に行うことが出来なくなる。すると細胞の活動が鈍くなり、老廃物が溜まってしまい、血流がますます滞る。さらには体の隅々まで栄養が届かず、冷えが一段と進むという。

 東京社会医学センターの村上剛主任はこう語る。
「昔から言われていることですが、人の体は冷房や暖房のない暮らしに適合しているのです。夏に真冬のような環境に置かれると、自律神経のバランスが崩れ、毛細血管の調整が効かなくなり、血液が体の隅々まで行かずに冷えを感じる。しかも、1日中、冷房の効いた部屋で仕事をしていると、体の深部まで冷え、飲み物も冷たい物を多く摂れば体の内側に冷えが滞留してしまう。すると、男性は頻尿や腰痛などを悪化させ、風邪はもちろん、免疫力の低下によって、ウイルスや病原菌への自己防衛の機能まで落ちます。言わば病気になりやすく、また治りにくくなってしまうのです」

 体が冷えると、酵素の働きが悪くなる。酵素が元気に働く体温は、36・5〜37℃が理想とされるが、体温が1℃下がるだけで免疫力は約30%低下するといわれる。村上主任の指摘のように、免疫力が落ち、自己防衛機能もダウンするとなれば、様々な病気に罹りやすくなる。

 最悪の場合、メタボの人は動脈硬化による脳卒中などを発症することもある。とても危険で油断できない症状の1つなのだ。

 では、冷え症になったかどうか、自己判断できる症状にはどんなものがあるのだろうか。医療関係者に例を挙げてもらった。
(1)顔や上半身が火照り、腰から下が冷たい場合は、“冷えのぼせ”といって典型的な体の冷えを示す。
(2)向こう脛を軽く押し、痛みやむくみを感じたなら、体の水分代謝が滞り、体の内部が冷えている事を示している。逆に大汗をかいたりする場合もある。

★お薦めしたい“半身浴”

 新潟大学病院の元管理栄養士で料理研究家の林康子氏は、次のように話す。
「冷え症から脱出するためには、簡単な言い方をすれば、体を冷やす原因と手を切ること。すべてを変えることは、最近の夏の暑さを考えると至難の業ですが、次のような生活習慣の改善から始めるのも、その1つです。夏バテ防止にもなるので、ぜひ実践して欲しい」

 冷え症から脱出するための具体的な対策は次の通り。

【飲み物】
 夏はどうしても冷たい飲み物を摂りすぎて、お腹を壊しやすい。ポットに薬草茶などを持参する。
 コーヒーはホット、アイスコーヒーは避けよう。
 温かい日本茶は、冷えには最適。中国茶もジャスミン茶もよい。また、酒を飲む場合でも、お湯割りなど温かい飲み物にしたい。

【食べ物】
 暑さ対策では、スイカ、メロン、トマト、ナス、キュウリはお勧めだが、冷え対策には不向きだ。
 冷たい物や水分の摂りすぎを感じたら、体を冷やす物は避けたい。逆に唐辛子、ショウガ、ネギなどを料理に使うと血流を促進させ、体を温める効果があるのでお勧めだ。
 また、梅干しは疲労回復に役立つ。クエン酸や抗菌、滅菌作用のあるカテキンなどが含まれる優れたアルカリ食品で、下痢、夏バテにも効果があるので、積極的に摂るようにしたい。

【入浴】
 クーラーや扇風機の当たりすぎなどで、足のむくみ、体調不良の場合は入浴が一番。ただし、37〜38℃のぬるめのお風呂に20分前後、胸くらいまで浸かる“半身浴”がよい。
 汗が大量に吹き出て冷えを解消する。末梢血管の循環も改善して、全身が温まるのでお勧めしたい。
 本格的な夏本番はすぐやってくる。体の冷えを避け、快適な夏をすごすための方策をしっかり身に付けよう。

薬を使わないで治療
今井一彰氏
(みらいクリニック院長)

山口大学医学部卒業。東洋医学などのさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。

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