葉加瀬マイ 2018年11月29日号

話題の1冊 著者インタビュー 稀見理都 『エロマンガ表現史』 太田出版 2,500円(本体価格)

掲載日時 2018年06月03日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年6月7日号

 ――本書はおっぱいの表現や性器修正の歴史など、エロ漫画の学術的な研究書として評判です。これらをまとめようとしたきっかけは何ですか?

 稀見 個人的にエロマンガ家さんへのインタビューや、評論などの同人誌を発行していて、表現の考察についても断片的ではありましたが、少しずつまとめていた経緯があります。それらを一つにまとめたかったという思いと、エロマンガ研究自体の先行研究が少なかったという点から、知り合いの編集さんと相談して企画を進めた流れになります。

 ――多数のエロ漫画家へインタビューをしていますが、大変貴重な内容ですね。苦労した点はありますか?

 稀見 インタビューは準備段階でその内容の濃さが決まってしまうので、まずは、その準備が大変です。著者の作品を同人誌レベルからすべて集め、時系列順に熟読したり、他の方のインタビューやSNSでの発言、日記など、公開されているものはなるべく目を通し、インタビュー中のどんな話題にもついていけるよう、脳内キャッシュをためておく必要がありました。
 なので、キャリアの長い先生ほど、時間がかかり苦労しましたね。ある女性作家さんには、本人でも忘れていたようなことを私が知っていて「何でそんなことまで知っているんですか!?」と、本気で怖がられました。完全にストーカーですよね(笑)。

 ――エロ漫画の歴史の中で、稀見さんにとって印象深い“作品”や“画期的な表現方法”はありましたか?

 稀見 森山塔(山本直樹)先生の初期の作品はいろんな意味で衝撃的でした。単行本『ラフ&レディ』に集録されている『デマコーヴァ』という作品があるのですが、雑誌掲載時はあまりにも内容が過激で、その後、単行本として一度も完全収録されたことがない奇作なんです。
 その他にも、女性器の絵を修正されないよう、細かく切り刻んでページの端々に細かく貼り付けて、読者がハサミで切って貼り付けると無修正の画像が復元されるなんてことをやっていて、エロというジャンルの自由さを本当にうまく利用していたな、と今でも感心させられます。

 ――今後はどのような活動を予定していますか?

 稀見 もともと、エロマンガのアーカイブを整理して、誰もが研究できるようなオープンなデータベースを構築したいと考えていました。それらを書籍などを通して発表できたらと思っています。エロマンガ研究という分野の魅力を、より多くの人に知っていただければと思っています。
(聞き手/程原ケン)

稀見理都(きみ・りと)
美少女コミック研究家、インタビュアー、ライター。日本マンガ学会所属。企画「エロまんがとSF」にて第24回暗黒星雲賞受賞。著書に『エロマンガノゲンバ』(三才ブックス)がある。

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