蝶野正洋の黒の履歴書 ★“アントニオ猪木”に群がる有象無象

エンタメ・2019/12/08 18:00 / 掲載号 2019年12月12日号
蝶野正洋の黒の履歴書 ★“アントニオ猪木”に群がる有象無象

蝶野正洋

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 アントニオ猪木さんが、靖国神社で行われた「奉納プロレス」に参加して、久々にリング上からメッセージを送っていたね。

 体調が悪いと聞いていたから、元気な姿を見せてくれてなによりだよ。あと、奥様の田鶴子さんが亡くなってから、猪木さんの周辺が騒がしくなってることも聞いてたしな。

 田鶴子さんは、猪木さんのマネジャーのような立場でもあったから、それが外れてしまったことで、最近はいろいろな思惑を持った輩が猪木さんに近づいてきてるみたいなんだよ。

 俺の所にも、「猪木さん関連の本を作るから、インタビューをやらせてくれ」っていうオファーが出版社から来た。その本の担当者に「他に誰をインタビューするの?」って聞いたら、これが昔の新日本プロレスの関係者で、いまや猪木さん側と反目している人たちばっかりでね。

 怪しいなと思って、どんな素性の本なのか調べさせてたら、すぐ藤波辰爾さんから電話がかかってきて、「ウチにこんなの来てるけど、そっちもか?」って言うから、「なんか危なそうなの、来てます」と(笑)。前田(日明)さんには、俺から「受けないほうがいいですよ」と、メールを打っといたよ。

 ただ、これってよくあるパターンなんだよな。俺には「藤波さんも、前田さんも来てます」って言っておいて、行ってみたら誰も来てないってね。この本に関しては、実際は猪木さんというか、田鶴子さんに対して恨み節が入っている人を集めて、暴露本を作ろうと思ってたんじゃねーかな。

 それぐらい“アントニオ猪木”という名前でお金を集めて、商売しようとするやつらが沢山いるんだよ。そういう取り巻きにやられちゃって、パチンコ契約なんかでも猪木さんにお金が入ってこなかったことがあったみたいだし。

 それを田鶴子さんが横で見てたら、「なにやってんのあなた。目の前でお金が流れているじゃない」って言いたくなるのが普通だし、当然、そういう輩をシャットアウトする。

 それで、周りはいままで甘い汁を吸ってきたから、田鶴子さんを恨むようになったという構図だと思うよ。

 全盛期の猪木さんって、周りのマネジメントのチームも優秀だったんだよ。モハメド・アリとやったりとか、世界を相手に交渉してきたわけだから。

 ただ、猪木さんがプレーヤーとして一線を退いてからは、その辺りがグチャグチャになった。新しく入ってきたスタッフは、そこまで経験がないし、気をつけないと猪木さんの価値を落としかねない。

 そういう意味でも、田鶴子さんの存在は大きかったんだろうね。

 一般の人は「新日本プロレスといえばアントニオ猪木」だと思ってるけど、いまの新日と猪木さんは、関係がほぼ切れてしまってる。リング上も、猪木さんが目指してたストロングスタイルとは違うものになってしまっているからね。

 だから“新ニュージャパン”は、東京ドーム興行に猪木さんを呼んだりしないだろうし、できないと思う。

 でも、プロレスというジャンルは記憶と歴史に価値がある。周りはそこを大切にして、これからも「アントニオ猪木」という名前を高めていってほしい。

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蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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