葉加瀬マイ 2018年11月29日号

男性平均寿命1位・滋賀県「健康長寿」への生活ヒントがあった!

掲載日時 2017年12月30日 10時00分 [健康] / 掲載号 2018年1月4日号

 厚生労働相が12月13日、2015年の都道府県別の平均寿命を発表した。それによれば、男性では前回の'10年の調査(調査は5年ごと)まで5回連続で首位だった長野県を抜き去り、81.78歳の滋賀県が初の日本一に躍り出た。全国平均では男性が1.18歳延びて80.77歳、女性は0.66歳延びて87.01歳となる中、滋賀県男性も前回の80.58歳から1.2歳延びた堂々の首位。その長寿の秘訣は、どこにあるのか。
 「滋賀の県民性は、全体的にあまりくよくよせず、活動的な人が多いという話を聞きます。そうしたいい面が、平均寿命で近年、常に上位に位置し、今回の首位という結果にも出ているのではないでしょうか」
 とは、ノンフィクションライターの窪田順生氏。

 他のデータを見れば、滋賀県は「日帰り行楽によく行く」ランキングで全国1位('11年総務省社会生活基本調査)。また、各自治体が設置する高齢者向けの教養・レクリエーション施設、いわゆる「老人憩の家」の数が全国1位('09年厚労省社会福祉施設調査)。このことからも、老若男女を問わず“楽しもう精神”の旺盛さが窺える。
 しかし、そこに至るまでには紆余曲折もあった。

 「1990年の平均寿命では、男性が12位、女性は37位。そこで県は、'90年代から望ましい食生活や運動のあり方、ウオーキングコースを紹介する県民向けガイドブックを作成し、市町の約3600人の健康推進員が、塩分控えめの食事や健康診断の受診を呼び掛けてきたんです」(地元記者)
 名付けて「野菜食べ隊支援事業」。1日に350グラムの野菜を摂ることを推奨し、レシピを配布して食事のときにプラス1品の野菜料理を食べる習慣も広めたという。

 また、同県では圀松善次元県知事の提案により、'15年に「栗東100歳大学」を開講。地元の65、66歳を対象に週1回2時間程度のペースで、全40回の講座(参加費8000円)をコミュニティーセンターなどで開いた。テーマはがん予防やメタボ対策のための食事、体操、さらにシルバー世代の起業などと幅広い。
 「滋賀は平均寿命は伸びていますが、健康な状態ですごせる期間である健康寿命は70代前半で、まだまだ本当の意味での長寿県とは言えない。ただし、こうした自治体主導の活動は、平均寿命の延びと同時に必ず効果が表れると思われます」(健康ライター)
 意識改革の結果、すでに高血圧の原因となる食塩の摂取量の低さでは全国5位、喫煙率の低さでは全国1位(いずれも'16年厚労省国民健康・栄養調査)。さらには、がんによる死亡率の低さで全国2位、男性の脳血管疾患による死亡率の低さでも全国1位(いずれも'17年厚労省人口動態統計特殊報告)という結果が出ている。

 食生活では、伝統料理も見逃せない。琵琶湖で獲れるニゴロブナを使った鮒寿司に代表される発酵食文化が古くからある。
 「フナを塩漬けにしてから、ご飯に漬けて自然発酵させる鮒寿司は、平安時代から、お腹の調子の悪い時や体調の悪い時に食べる風習があったとされています。良質の乳酸菌を豊富に含んでいるため、腸内環境の改善などにも効果があり、日本酒のアテにもってこいなんです」(前出・地元記者)

 世田谷井上病院理事長の井上毅一氏も、こう説明する。
 「鮒寿司は滋養強壮や風邪予防にも効果がある食べ物としても利用されています。消化がよく、栄養素も生の鮒よりミネラル、ビタミンB1が多く含まれ、柔らかいので骨ごと食べることができるため、カルシウムも十分に補うことができるのです」

 伝統料理では佃煮が有名なコアユも琵琶湖で獲れる。こちらも骨が柔らかく丸ごと食べられ、カルシウム満点の食材だ。また「近江米」と呼ばれるように、滋賀県は澄んだ水と肥沃な土壌から、米作りにも最適。そのため「米・魚・豆・野菜・発酵食」という食事のバランスが取りやすい土地でもある。
 「例えば、鮒寿司に含まれるビタミンB1は、糖質代謝や消化液の分泌の促進、自律神経を整える効果があります。逆に不足した状態が続くと、倦怠感、足のむくみ、息切れなどを起こしがちになる。多く含まれるものでは、豚肉や大豆、鰻などが挙げられます」(前出・健康ライター)

 カルシウムも摂取することで、骨折や骨粗しょう症などの予防となる。
 「特に、高齢者は食事が淡白なものになっていくため、カルシウムの摂取量が不足がちになる。すると、転倒して骨折し、そのまま寝たきりの状態を招いてしまう。小魚や乳製品、大豆、チンゲン菜などで補給することです」(同)

 滋賀県で思い起こさせるのが、売り手、買い手、そして世間が満足できる「三方よし」の理念の近江商人だ。
 「商人とはいえ、ガツガツせず、おおらかだからストレスも少ない。あくまで長い目で繁栄を築き上げる考え方です。そうしたゆったり気質も、現代の長寿に繋がっているのかもしれません」(前出・地元記者)

 学ぶところが多くありそうだ。

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