中島史恵 2019年6月6日号

ルノー産業スパイ事件諜略疑惑浮上 返り血をあびる日産ゴーン社長の断末魔(1)

掲載日時 2011年03月22日 11時00分 [社会] / 掲載号 2011年3月24日号

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が、傘下のみずほ証券、みずほインベスターズ証券、みずほ信託銀行の3社を、株式交換の手法で今秋にも完全子会社化することになった。証券2社は来春にも合併する。
 国際業務を担う銀行は、2013年から自己資本比率が一段と厳しくなる。それに備えるべく、重複部門を統合することでグループの経営効率を高める狙いがあると経済メディアは一斉に報じているが、金融情報筋は「みずほFGには秘めた魂胆がある」と喝破する。
 実際、'13年から実施される自己資本比率規制は、国際業務を行う銀行の場合、狭義の中核的自己資本比率を当初は3.5%以上とし、'19年には7%以上にするよう義務付けている。これに対し、みずほはすでに7%を確保しているばかりか、実施初年度の'13年時点で8%台を確保できる見通し。従って自己資本比率にそう神経質になる必要はなさそうだが、実をいうとこれには落とし穴がある。

 世界の大手金融機関は、国際展開の度合いによって'13年から「グローバルに重要な金融機関」と「重要な金融機関」に分類されることが決まっている。まだ詳細は明らかになっていないが、もし前者に分類されれば、欧米のコングロマリットと同じ土俵で戦うことから大幅な増資が避けられない。反面、後者に分類されれば国際展開は“片手間”の烙印を押されたことを意味し、日本のメガバンクとて国際プレーヤーとしての活躍は限定的なものに留まる。そんな大嵐を目前に控え、みずほの現状を金融記者はこう指摘する。
 「みずほFGは1兆円増資など恥も外聞もない大型増資を繰り返したことで、株価低迷の副作用に陥っている。だから塚本隆史社長は『増資なしで資本規制に対応せざるを得ない』と口走っているほどで、世界のグローバル銀行を目指そうとする三菱UFJや三井住友とのスタンスの違いが際立っています。みずほ迷走のA級戦犯と言われた齋藤宏・コーポレート銀行会長など3人の実力者が去年の6月に特別顧問に退いたことで、現経営陣は彼らの影響力をどこまで排除できるかが問われている。見方を変えれば、ここで荒療治を断行しなければ、みずほFG自体が世界の金融界からドロップアウトしかねないのです」

 再編に伴い、M&Aなど法人業務に強いみずほ証券は、個人向けが主力のみずほインベスターズ証券と合併することで顧客基盤が強化され、大和証券グループ本社に次ぐ証券第3位に躍り出る。一方、みずほ信託は個人・中小企業向け取引が中心のみずほ銀行との連携を強化。不動産、資産管理などの業務に特化する。
 現在は株式を公開している証券2社、信託とも100%子会社に組み込まれる以上、株主配当を通じて外部に流出している3社の利益をFGグループに蓄積することで、自己資本比率を一段と高める狙いもある。だが、前出の金融情報筋は「もっと野心的シナリが透けてくる」と打ち明ける。
 「みずほFGが巨大な金融コングロマリットに変身しさえすれば、自己資本比率の問題は後からついてくる。手っ取り早いのは、証券界再編の目玉と囁かれている大和証券グループ本社とタッグを組むことです。一気に呑み込もうとすると警戒されますが、時間をかけて外堀から埋めていけばいい。実は去年の暮、みずほ証券が大和証券にラブコールを送っているとのアングラ情報が飛び交い、市場関係者が騒然としたことがあった。みずほ証券とみずほインベスターズ証券を100%子会社にした後で合併させるシナリオは、大和への新たな誘い水と理解すれば話が早いのです」

 大和証券といえば'09年12月、10年間にわたって続いた三井住友フィナンシャルグループとの合弁事業を解消。銀行の後ろ盾を失ったことから業績が悪化し、昨年9月中間決算では大手5社の中で唯一の最終赤字に転落した。早くも再編の主役に浮上すると“期待”したのか、米投資ファンド「ハリス・アソシエイツ」が運用する「オークマーク・インターナショナル・ファンド」が同社株を買い漁り、昨年11月に発行済み株式の10%超を保有する筆頭株主に躍り出たのを機に、大和証券の周辺が俄かに騒々しくなってきたのである。
 「大和は三井住友と縁が切れたことに危機感を募らせ、香港の現地法人を第2本社と位置づけるなどアジア戦略を急加速させている。ベルギーの金融会社のアジア事業を約900億円で買収したのもその表れですが、こうした動きに金融庁が大和専門のモニタリングチームを設置したことで注目を集めた。リスク管理を心配してのことのようですが、民間企業への対応としては極めて異例なことで一部には『金融庁が大和の後ろ盾探しに動いているのではないか』と勘繰る向きさえいたほどです」(市場関係者)

 金融庁が気を揉んだとしても無理はない。預かり資産は40兆円を超え、国内では野村に次ぐ第2位。そのため一時は、4月に発足する三井住友トラスト・ホールディングス(住友信託と中央三井の統合会社)や韓国の大手証券との資本提携説が今なお燻っている。そこへ“真打登場”のように浮上したのが、下手すると国際的金融機関から脱落の瀬戸際に追い込まれたみずほFGなのだ。
 「これで大和がみずほFGと合流すれば、双方が非常事態からの脱却にメドが立つ。まして新生・みずほ証券と大和が合併に漕ぎつければガリバー野村も安閑としておれなくなる。一石二鳥、いや一石三鳥が期待できる劇的な再編の裏に金融庁の仕掛け人説が囁かれるのも無理はありません」(メガバンク関係者)

 みずほFGがカードを切った極めて野心的な子会社再編の裏で、金融庁の含み笑いが聞こえるようだ。

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