祥子 2018年7月26日号

話題の1冊 著者インタビュー ツチヤタカユキ 『笑いのカイブツ』 文藝春秋 1,350円(本体価格)

掲載日時 2017年04月23日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年4月27日号

 ――NHK『ケータイ大喜利』でレジェンドの称号を獲得するまで、1日で大喜利のお題を100個考え、2000本ボケていたそうですが、そこまでのめり込んだきっかけは?

 ツチヤ 元々、笑いの才能があるとは思っていませんでした。なので、早々に見切りをつけて諦めたかったです。ただ、悔いだけは残したくなかった。悔いを残さず諦めるためには、命を懸けて、全力で挑んで敗れ去らなければならない。それは成功するための全力疾走ではなく、潔く諦めるための全力疾走でした。
 コントはどちらかと言えば得意だったのですが、こと大喜利は大の苦手でした。苦手な大喜利を訓練して成果が出れば、お笑いをやる資格が得られるかもしれない。それができなかったら、諦めようと思っていました。幸か不幸か一部の間でそれなりに評価を受け、結局、諦めるのに12年もの歳月を費やしていました。

 ――芸人ではなくネタを作る側になったのはなぜ?

 ツチヤ キャラが薄いし華もない。面白い立ち居振る舞いさえ、人間関係が不得意な自分にはできないと思っていました。何より、プロになりたくてネタを作っていたのではなく、まず衝動が先にありました。ネタを作りたい衝動が強すぎて、それをぶつけられる先を探していた結果、構成作家という職を選びました。かつて、ハガキ職人にのめり込んだのも、ひたすらネタを作れるからです。いくらでも衝動を解放できたんですね。芸人としてのネタ合わせの時間すらもどかしく思えました。
 僕自身、養成所やチケットノルマに支払う金すらなかった時代もありましたね。

 ――ニートをしながら数々の番組にネタ投稿を続けていたそうですが、今後はどのような活動をしていく予定ですか?

 ツチヤ 一言で言えば、何でもやらせていただきたいです。個人的な想いとしては、27歳で一度死んだと思って生きているので、もはやどうなろうと構わないし、いつ死んでもいい(笑)。その上で、願わくはジジイになるまで、創作活動を続けられたらすてきだなと思っています。
 ただ、作る作品がつまらなくなったら、自分に見切りをつけて辞めるでしょうね。最後まで見てくれるお客さんには、誠実でありたいと思っていますから。そもそも偉くなんかなりたくなくて、一生若手で、一生勉強で、一生本気で生きていけたら、最後はヤバいジジイになれる気がするんです。
 実はそうなった自分を一番見てみたいのは、僕自身だったりします(笑)。
(聞き手/程原ケン)

ツチヤタカユキ
本名、土屋崇之。1988年生まれ。大阪市出身。伝説のハガキ職人といわれ、三組の芸人の構成作家、私小説連載を経て現在に至る。人間関係は不得意。

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