片山萌美 2019年7月4日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 幕末に開催!日本初のマラソン大会「サムライマラソン」

掲載日時 2019年02月22日 15時30分 [エンタメ] / 掲載号 2019年2月28日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 幕末に開催!日本初のマラソン大会「サムライマラソン」
画像提供元:(c)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners

 黒船来航とともに、侍の時代が終わろうとしていた幕末期、日本初のマラソン大会が現在の群馬県安中(あんなか)市で開催されていたという史実に基づいた映画です。

 大会の名は「安政遠足(あんせいとおあし)」。目的は、黒船の脅威に揺れる幕府に危機感を抱いた安中藩主が、藩士を鍛えるために15里(約58キロ)の山中を走らせるというもの。優勝すれば望みは何でも叶えられるという恩賞つきです。しかもその裏では、藩士不在でもぬけの殻になった城に、幕府から藩主暗殺の刺客が差し向けられていた…。

 とまあ、オリンピック開催前年にふさわしい、劇画のようなスポーツ&アクション時代劇です。

 山岳レースのような険しい山道を、お侍さんが「ナンバ走り」で走りまくるのも楽しいですし、それがいつの間にか藩存亡の危機に変わるという展開もスピード感があります。

 と言いつつ、単純なストーリーの割には腑に落ちない点がいくつかありまして。

 そもそもの発端は、安中藩に幕府の“忍び”として潜伏していた主人公の佐藤健が、「遠足」を謀反の兆しありと早合点して知らせを送ったこと。

 時は幕末なので、通信手段には限界があると思いますが、そのくせ、刺客たちと佐藤以外にもいた“忍び”との連携が機敏すぎる。

 だったら、その手を使って、こんなに大事になる前に、「早合点でした」と知らせたらいいじゃないか…と、いちいち立ち止まって考えてしまいます。細かいとは言えない矛盾点が多々ありますが、一切、気にしないでください。何と言っても監督は外国の方ですから、おそらくそんなことにはこだわらずエンターテインメント最優先なのでしょう。

 注目すべきは、この監督をはじめ、錚々たる製作陣と役者陣の顔ぶれです。

 音楽が流麗だと関心していたら、アカデミー賞にもノミネートされた有名作曲家だったり、衣装はワダエミだったり。そして佐藤健の他、豊川悦司、竹中直人、長谷川博己、森山未來など豪華キャストが並びます。

 さらには、ロケ地はすべて山形らしいのですが、深山幽谷の美しさ。“中国ロケ?”と思うほどです。

 まるで西部劇のようなテンポや映像美は、日本と海外のセンスが合体して、いい効果を生んでいますね。

 さて、群馬県安中と言えばプチ思い出が。中学から高校までの毎年、学校行事として行ったスキー旅行。そのバスのトイレ休憩に必ず止まるのが安中のドライブインでした。

 それが、安中の唯一の思い出でして…。

画像提供元:(c)“SAMURAI MARATHON 1855”FILM Partners
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■サムライマラソン
監督/バーナード・ローズ 出演/佐藤健、小松菜奈、森山未來、染谷将太、青木崇高、木幡竜、小関裕太、深水元基、カトウシンスケ、岩永ジョーイ、若林瑠海ほか 配給/ギャガ 2月22日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。
■260年間の鎖国が終わりを迎えようとしていた1855年、幕末。安中藩主・板倉勝明(長谷川博己)は、開国を迫る外国の脅威に備え、藩士たちを鍛錬しようと15里の山道を走る遠足の開催を宣言。しかし、行き違いから幕府への反逆とみなされてしまい、安中藩取り潰しを狙う刺客が藩士不在の城に送り込まれる。遠足参加中に藩の危機を知った安中藩士の唐沢甚内(佐藤健)は、暗殺計画を食い止めるため、一刻も早く城へ戻ろうと全力で走り始めるが…。

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やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中

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