菜乃花 2018年10月04日号

美しい思い出が無惨に変わる同窓生カップルの“期待と誤算”(3)

掲載日時 2016年01月11日 23時00分 [事件] / 掲載号 2016年1月7・14日合併号

 事件当日、佐野は金づち、結束バンド、ビニールテープ、はさみ、手錠などを用意し、深夜に理香のマンションに忍び込んだ。「どうやって部屋の中へ踏み込もうか」と考えていると、ふいにドアが開いた。それは外出しようとして出てきた理香の父親だった。
 「チャンスだ!」
 佐野は後ろからハンマーで殴り掛かり、頭をメッタ打ちにした。父親は血まみれになり、頭蓋骨を陥没骨折する重傷を負った。

 「どうしたん?」
 その騒ぎに気付き、玄関先まで出てきた理香と佐野が鉢合わせ。佐野は理香にも殴り掛かり、「こっちへ来い!」と言って、非常階段へ連れ出した。
 「キャーッ、助けてーッ、誰か警察を呼んでーッ!」
 その声を聞いて住民が駆け付けてきた。佐野は拉致を諦め、「そこをどけ!」と言いながら、非常階段を駆け下りて行った。理香の父親は病院に運ばれ、緊急手術で一命を取り留めた。

 間もなく警察が到着。犯行現場には道具一式と注射器が入った佐野のカバンが落ちていた。なぜか佐野は自分の車をマンション前に止めたままタクシーで逃走していた。佐野が逃亡した先は共通の知人である西山の家だった。佐野は興奮状態で、「オレは死にたい」と繰り返していた。
 「理香のおやっさんをやってもうた。4〜5回ハンマーで殴ってしまった。血だらけだったし、もしかしたら死んでるかもしれない。理香を連れ去ることを考えていたが、逃げてきた…」

 西山は佐野を説得。佐野は〈理香、ごめんな、オレは理香だけを愛してる〉というメールを送り、最後にシャブを打ってから警察に出頭した。佐野は殺人未遂と住居侵入、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された。
 「彼女と再会したのは運命だと思った。彼女と会うために自分は離婚し、自分の人生は最初から彼女のためにあったんだと思い込んでいた。それぐらい彼女のことが好きだった」

 思春期を共有した異性は魅力的に映るが、うまくいかないと思い出ごと崩壊してしまうようだ。
 裁判所は「被害者は死ぬかもしれない危険にさらされ、死亡することも十分あり得た。覚醒剤への親和性も顕著だ」と断罪し、懲役7年6月を言い渡した。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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