葉加瀬マイ 2018年11月29日号

スマホ・パソコンの使いすぎに注意! 脳梗塞にも発展する“首への負担”

掲載日時 2018年03月04日 08時00分 [健康] / 掲載号 2018年3月8日号

スマホ・パソコンの使いすぎに注意! 脳梗塞にも発展する“首への負担”

 昨今はよく電車内などで、首を曲げてスマホやパソコンを使っている人を見かけるが、あまりそうした体勢を取り続けていると、首を痛め“ストレートネック”と呼ばれる病などに陥りやすくなる。
 三井弘整形外科・リウマチクリニックの三井弘院長は、こう警鐘を鳴らす。
 「以前は整形外科にやってくる人といえば、腰や膝、関節などに痛みを抱える中高年者か、故障をしたスポーツ選手、あるいは交通事故などで骨を損傷した人がほとんどでした。それが今は、年齢層がぐっと若くなっているんです。頭痛や疲労がとれず、内科や心療内科に通院した人が症状が改善されないことで、最後にたどりついたのが整形外科という人が多い。そして診察すると、その9割は首に原因があることが分かってきたのです」

 なぜ、若い人に首の異常が増えたのか。その原因は、パソコンやスマホの使用過多によるストレートネックのような“パソコン病”なのだ。
 パソコン病について、三井院長は著書『体の痛みの9割は首で治せる!』(角川SSC新書)の中で、こう記している。
 「パソコンのディスプレイを長時間見続けることで首に負担がかかり、肩や背中のこり、頭痛、手の痺れ、脱力感といった症状などが表れる病気です。そもそも頭の重さは、成人で約5、6キロもある。ちなみに成人男子の脳の重さの平均は1350グラム。それに頭蓋骨や血管などを合わせると、ボウリングの球の重さになるわけです。この重さに耐えながら、上下左右の回転などいつも支えている」
 また、米ニューヨークの脊髄外科医であるケネス・ハンスラージ氏による研究結果によれば、頭の傾きが15度の時は「12.2キロ」、30度の時は「18キロ」、60度では「27キロ」の重さが首にかかるという。

 女性では、昔から美人とされる条件は首が細くて長いことだった。一方、男性の場合は首が太くて短い猪首の人は仕事ができるとも言われてきたが、これはあくまで俗説。
 「整形外科医からすると、首の故障が少ないのは、“背筋から首が伸びている人”だと言われます。猪首は、肩や胸の筋肉が盛り上がっているため頑丈そうには見えますが、必ずしも首の故障が少ないわけではない。要は、強い筋肉で首がいかに支えられているかどうかなんです」(専門医)

 人間の体で、どこよりも首が大事とされるのは、生きていく上でとても大切な器官が集まっている部位だからだ。
 「首には、脳に血液を送る頸動脈、呼吸を保つ気管、食物を胃に送る食道、また様々なホルモンを分泌する甲状腺、加えて体を動かすための全神経が集結した脊髄などもある。体の中で、これだけ重要な器官が集まっているところは他にありません。そのため、首の具合が悪くなると、それぞれの器官の働きが悪くなり、あちこちで弊害が起こるのです」(同)
 パソコンなどの使いすぎから起きる首痛の症状は、単に“首が痛い”だけには留まらない。目が疲れる、体がだるい、腕が痺れるといった症状から、もっと重い変形性頚椎症や頚椎椎間板ヘルニア、さらには、脳梗塞などの病気に進行することも考えられるという。

 ある専門家は、「首に不調が生じている場合、いくつかの症状が出る」として、見逃してはならない以下の4つの変調を挙げる。
 (1)スマホやパソコンを使うと、肩こりや首こり(背中痛)を感じる。
 (2)気付くとかなりの猫背になっている。
 (3)天井を見ようとすると首に痛みや違和感を覚える。
 (4)目が疲れやすく、ドライアイになりがち。
 これに、環境状況として「スマホやパソコンを1日5時間以上使っている」を加え、2つ以上当てはまる人は、パソコン病になっている可能性が高いという。
手足の痺れは危険信号

 以前、NHKの『ガッテン!』でも肩こりについて取り上げていたことがあるが、そこでは肩こりの原因を“筋膜のシワによるもの”としていた。この筋膜とは筋肉の束を包んでいる膜のことで、肩こりは、この筋膜が硬くなっていることが原因の一つとされる。
 「筋肉のこりは、すぐにほぐれますが、こりとほぐしを繰り返すうちに、筋肉の表面にある筋膜にシワができ、そのシワに引っ張られるように筋肉がこり固まってしまう。さらにスマホやパソコンを扱うときの前かがみの姿勢が、頑固なシワを作り出すのです。結果、首、肩に不調をきたすことにつながります」(専門医)

 特に女性は“ストレートネック”の人が多いと言われる。女性の首の筋力は弱く、また仕事中のデスクワークで負担をかけている首に対し、電車の行き帰りや休憩時間にスマホを見続けることなどで、首への負担は倍増。結果、首の自然なカーブが失われるストレートネックになる確率が高くなると考えられている。
 東京都立多摩総合医療センターの整形外科担当医も、こう説明する。
 「確かに、スマホやパソコンの普及もあって首の痛みを訴える人が増えてます。それも、40、50歳代あたりの人が非常に多い。そのほとんどは、背中を丸め、顔を少し前に突き出している時間が長いのが特徴です。この姿勢は、頚椎には不自然な状態で、特にアゴを突き出すと首が後ろに反り返り、頚椎や首の筋肉を緊張させてしまう。これを長時間続けていると、首や肩の血液の流れが悪くなり、疲労物質の乳酸などが蓄積して首を中心にこりや痛みを発症するのです。予防と改善への第一歩は、背筋を伸ばし、背中を椅子の背につけること。そして、あごを少し引く姿勢を意識することです」

 また、前述のように重い病に罹る人も増えており、「若年性脳梗塞」と診断される人も少なくない。
 「その多くは、脳の血管の一部が詰まることによって起きています。前兆については、首の痛みだけでは判断し難く、寝違いや筋肉疲労などと勘違いしやすい。手足に痺れ、震えなどが出たときは軽い脳梗塞を起こしている可能性があるため、診断を受けましょう」

 このご時世、スマホやパソコンの使用を避けるといっても無理な話。そのため、少なくとも姿勢には注意し、途中に休憩を入れるなど、自分なりの心掛けが重要になってくる。

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