LiLiCoオススメ「肉食シネマ」 自分の運命を考える時間も大切『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』

エンタメ・2020/06/21 07:00 / 掲載号 2020年6月25日号
LiLiCoオススメ「肉食シネマ」 自分の運命を考える時間も大切『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』

(c)2019 Gravier Productions, Inc.

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 徐々に映画館が営業を再開しています。新作の公開もゆっくりではありますが、必ず、皆さんの目と心に触れられる時が来るはずなので、もう少しの辛抱です!

 今週は、ウディ・アレンの新作を紹介します。年齢によっては、昔のウディが好きという方も多いかもしれませんが、個人的には、36本目の監督作となる『マッチポイント』あたりからが好み。ただ、ここ何本かは“まあまあ”ってところだったので、今回も、ちょっぴり緊張しながら観賞しました。

 結論を言えば、そんな心配は必要なし。私は、今回の作品が好き! ウディの作品の何がいいかって、やっぱり雰囲気。登場人物が歩いてる街の香りや、入って行く建物の造りなど…とにかく浸れます! そして、物語も、腰が抜けるような大どんでん返しではなく、人情味ある、ソフトだけど驚きのラストが待っている。さらに、“ウディ本人がモデルでは?”と思う役がよく登場するのも、たまらなくいいんです。

 ポジティブだけど、どこか抜けてる女性のアシュレーは、大学の課題で有名な監督にインタビューするチャンスが来ます。それも、ラッキーなことに憧れの監督ポラード。彼氏のギャツビーも同行してニューヨークへ行くのですが、この行動が、彼女の運命をガラッと変えます。アシュレーにとって、願ってもいないことがどんどん起こり、登場人物の運命が絡み合い始めると、面白いくらいジェットコースターのように人間模様が見えて来ます。

 ギャツビーは学生の頃はニューヨークにいたので、街を歩いては懐かしい友達に出会う。友達に「自費制作の映画に出てよ」と言われ、昔、付き合っていた恋人の生意気な妹と再会。アシュレーも、憧れの監督が新作に満足していない姿を目の当たりにして、なぜか監督に頼られ、お誘いを断れない羽目に…。まさに、ウディならではの展開です。

 人の運命がどう変わるのか? 今がいい、悪いなど色々あるでしょうけど、1カ月後には全く別の日常かもしれない。だから、運命に逆らわないで、時の流れに乗って楽しもう! そう思わせてくれる作品です。

 今回の“ウディっぽい役”はポラード監督。私は以前、ウディの取材のためにニューヨークまで行きましたが、約束の日、彼は次回作の編集に満足いかず不機嫌になって現れなかった。結果、次の日に来て素晴らしいインタビューになりましたが、今作で“映画作りは難しい”ということを皮肉っぽく描くことで、本人もストレス解消したのでは?

Photography by Jessica Miglio (c)2019 Gravier Productions, Inc.
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■レイニーデイ・イン・ニューヨーク
監督・脚本:ウディ・アレン 出演/ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナ、リーヴ・シュレイバー 配給/ロングライド 7月3日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開。
■大学生のカップル、ギャツビー(ティモシー・シャラメ)とアシュレー(エル・ファニング)は、ニューヨークでロマンチックな週末をすごそうとしていた。きっかけは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ポラード(リーヴ・シュレイバー)にマンハッタンでインタビューをすることになったこと。生粋のニューヨーカーのギャツビーは、アシュレーに街を案内したくてたまらない。ギャツビーは自分好みのデートプランを詰め込むが、2人の計画は瞬く間に狂い始め、思いもしなかった出来事が次々と起こるのだった。

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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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