祥子 2019年5月30日号

【話題の1冊】著者インタビュー 松本修 全国マン・チン分布考 集英社インターナショナル 1,100円(本体価格)

掲載日時 2018年12月13日 15時30分 [エンタメ] / 掲載号 2018年12月20日号

★オチンチンは放送OKでオマンコはダメな理由
――本書では女陰を表すさまざまな言葉のルーツが明らかにされています。「オマンコ」という言葉の起源はいつ、どこから始まったのでしょうか?
松本 まんじゅうが「オマン」と略されるようになってから以降のことでしょうね。16世紀、室町時代末のことです。これに“都のかわいいもの”の語尾に付ける習わしのあった指小辞「コ」がくっ付いたものが、「オマンコ」です。そもそも、女陰がまんじゅうに例えられたのは、蒸しあげた丸くて白く柔らかそうな感じの外観が、女児の女陰に似ていると考えられたからだと思われます。

――「オチンチン」はOKなのに、「オマンコ」が放送禁止用語なのは、なぜなんでしょうか?
松本 近代以降、西洋の男尊女卑の思想が浸透したのが始まりでしょう。女性は何もかも、男より“劣ったもの”と考えられるようになりました。チンポよりも「オマンコ」は劣っていて、醜く、不潔で、いやらしいものとみなされるようになり、女性自身もそれを信じ始めた節があるのです。
 しかし、江戸時代までは、日本にはそんなゆがんだ思想は存在しませんでした。「オマンコ」が放送禁止用語になってしまった理由は、女陰語が絶対的にタブー視されてしまったからでしょうね。

――最近では、女陰を表す言葉として「オマタ」「デリケートゾーン」とも言うようですね。松本さんが考える“女らしい”呼び名はありますか?
松本 「オマンコ」という呼び名は、御所の女房たちが発案し、天皇も使われたかもしれない、もっとも品格あるみやびやかな言葉であると思います。しかし近年は、いやらしい呼び名として使い尽くされました。ならばここは「オソソ」を再興させてもいいのではというのが、さまざまな女性の意見を聞き取り調査した上での、私の意見です。
「オソソ」という言葉は、幕末の上方で、婦女子専用の女陰語として、まさに「楚々と」可憐な花を開かせ、その後、江戸・東京にも伝わりました。しかし、東京の「オマンコ」勢力に押されて、標準語になるパワーを失い、今や完全に消えつつあります。「オソソ」こそは、古都・京都が1300年に渡る試行錯誤の末に、ついに至りついた、婦女子のための“究極の女陰表現”と言っていいでしょう。なのに、それがまだ十分に花開ききらないうちに、消えつつあるのはなんと悲しいことでしょうか。

 今まさに、これを再興してこそ、女性がジェンダーの誇りを回復する契機となるのではないでしょうか。
(聞き手/程原ケン)

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松本修(まつもと・おさむ)
1949年、滋賀県生まれ。TVプロデューサー。京都大学法学部卒業後、朝日放送入社。他の著書に『全国アホ・バカ分布考』『探偵!ナイトスクープアホの遺伝子』など多数。

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