菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー ビートきよし 『もうひとつの浅草キッド』 双葉社 1,600円(本体価格)

掲載日時 2016年06月19日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年6月23日号

 −−この本には、きよしさんが相方たけしさんと出会ってコンビを組んで、売れるまでの下積み時代、漫才ブームで売れてから現在に至るまでのエピソードが書かれていますね?

 きよし とにかくさ、相方を口説いてコンビを組んだのはいいけど、仕事なんか何にもないんだから。地方の商店街の呼び込みをやらされたり、キャバレーの営業に行けば誰も漫才なんか聞いてないしさ。どこ行っても人間扱いしてもらえないんだから。売れてない漫才コンビなんて、これ以上、悲惨なものはないよ。

 −−ツービートにもそんな売れない下積み時代があったんですね?

 きよし 漫才ブームで売れたけど、それまでは演芸場でもキャバレーでもクレームばっかりだよ。何にしろ、ウチの相方は仕事場にベロベロに酔っ払って来ちゃあ客に喧嘩ふっかけたり、他の芸人がネタやってるときに、スッポンポンになって舞台を走り回ったり。漫才のネタだって、ジイさんやバアさん、ブスの悪口言ったり、田舎者をバカにしたり、「コーマン」だの「ウンコ」だのバンバン言うような、そんなのばっかりだったからね。「アイツら、何しでかすか分からない」って目で見られてたから、ツービートは。それが漫才ブームで一躍人気者になってさ。どこ行ってもワーキャー言われるようになっちゃったんだもの。当時は何がどうなってるのか、よく分かんなかったよね。相方も俺も「こんなブームなんてすぐに終わる」って冷静に思ってたしね。

 −−この本に描かれている“ツービート最後の営業”のシーンは胸に迫るものがありました。

 きよし 浅草の修業時代から、2人してどんなに苦しくても歯を食いしばって頑張ってきたからね。相方も俺もいろんな思いがこみ上げてきてさ。やっぱりそれが長年コンビを組んだ者同士、言葉にしなくてもお互いの気持ちがよく分かるんだよ。

 −−本のタイトルが『もうひとつの浅草キッド』。たけしさんの本にも『浅草キッド』がありますよね?

 きよし 歌にもなってるけど、相方の『浅草キッド』という本があって、そっちは相方目線で見た浅草芸人の姿。こっちは“ビートきよしから見たツービート”を描いた作品だから『もうひとつの浅草キッド』にしたんだよ。自分で言うのも何だけど、しっちゃかめっちゃかな漫才コンビの、涙あり笑いありの半生を描いた作品で、ドラマみたいに面白く読めると思うから、相方の本のファンにもぜひ読んでほしいね。
(聞き手/鈴木実)

ビートきよし
本名・兼子二郎。1949年12月31日、山形県生まれ。高校を中退し、単身上京。浅草フランス座でビートたけしと出会い、漫才コンビを組む。漫才ブームで大ブレイクを果たした後、現在はタレント、役者として活躍中。

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