葉月あや 2019年5月2日号

政界 伸るか反るか①★安倍首相が「10月消費増税延期」ぶち上げ衆参ダブル選挙大博打

掲載日時 2019年04月05日 18時00分 [政治] / 掲載号 2019年4月11日号

政界 伸るか反るか①★安倍首相が「10月消費増税延期」ぶち上げ衆参ダブル選挙大博打
安倍晋三

 3月21日、東京の桜開花宣言と、ほぼ時を同じくして安倍首相が3度目の消費増税延期の腹を固めた――。その信を問うべく、夏の参院選に衆院選をぶつける衆参ダブル選挙で挑むのは確実という情報が永田町を駆け巡った。

 衆参ダブル選を仕掛ける背景には、2つの要因がある。1つは米中貿易摩擦で中国経済大失速など世界経済が不透明なこと。2つ目は消費税アップの強硬論者、麻生財務相の急激な政治パワーのダウンだ。

 メガバンク系シンクタンク関係者が1つ目の景気について解説する。
「3月21日付の朝日新聞は政府内閣府の月例経済報告を受け、1面トップで『景気判断3年ぶり引き下げ』と大々的に打ちました。この報道前から日本の景気が危ないと見られる象徴的な動きがあった。日本で最も勢いのあったモーターの世界トップシェア、日本電産の決算です。1月、日本電産は2019年3月期の業績予想を下方修正し、6年ぶりに減益と発表した。不況の深刻さは同社のカリスマ経営者・永守重信会長の言葉に凝縮されていた」

 永守会長は記者会見で「昨年10月まで計画通りに推移していたが、11月、12月、受注ベースで世界的に尋常ではない変化が起きた(月30%減)。46年間経営をやってきて月単位でこんなに落ち込んだのは初めてだ」と中国経済の大失速と英国のEU離脱混乱の影響をこう表現した。つまり、米中貿易摩擦等で“リーマン・ショック(2008年)級の経済恐慌が忍び寄っている”と示唆したのだ。

 次に麻生要因だ。
「3月21日に告示された麻生財務相の地元、福岡県知事選。麻生氏が引っ張り出し自民党推薦の下駄を強引に履かせたのが、武内和久元厚労官僚です。自民党最新事前調査で同じ自民党内の反麻生グループが推し、3期目を目指す小川洋知事が70%近い支持を得ているのに対し、武内氏は20%を切っている。両者の差はトリプル以上あるのです」(全国紙政治部記者)

 麻生派も懸命の巻き返しを図っている。最大の大票田・福岡市で圧倒的に強い高島宗一郎市長が「宿泊税」で小川知事と対立していることで、武内支持を決めた。しかし、その高島票をもってしても最大28万票前後。小川知事は過去の県知事選挙で120万票前後を獲得している。
「28万票の大半が武内候補に流れたと仮定しても、いまの票差を埋めることはほぼ不可能。小川有利の大勢は変わりません。麻生氏の地元福岡で大差で敗れれば、麻生氏の政治力は78歳という年齢も考慮すると今回でジ・エンド。そして、反麻生の小川支持に回った菅官房長官や二階幹事長が安倍政権の主導権を握る。そもそも、菅官房長官は現段階での消費税アップには極めて慎重な姿勢ですからね」(政界事情通)

 官邸周辺関係者もこう指摘する。
「実は、安倍首相も福岡の最新調査は十分把握している。麻生財務相が首相に直談判して武内氏の自民党推薦をもぎ取った際も、『推薦を得られなければ副総理を辞める』と、半ば脅されしぶしぶ推薦を出したほど。だから安倍首相も麻生財務相が失速すれば、消費増税強硬論者が発言力をなくし、消費税アップの旗を降ろしやすい。もちろん、消費増税を断念するにあたっては『リーマン級の大不況時』というラインを安倍政権は引いている。今、それに値するかどうかを見極めている。つまり、永守さんなど多くの財界人の受け止め方は『EU離脱問題で英国経済はガタガタ。ドイツ経済も失速。ここに中国経済が大ブレーキで間違いなくリーマン級の大不況到来寸前』という感覚なのです。安倍首相も“ここで消費税を10%アップなら橋本龍太郎政権時の大不況の二の舞だ”と頭を抱えていた。それだけに麻生失速のタイミングで消費増税3度目の延期の方向に大きく舵を切ったのです」

 当時の橋本政権は約60%の高支持率を背景に’97年4月に消費税を3%から5%にアップ。ところが、アジア通貨危機や住専などの不良債権問題が勃発。さらに医療費自己負担増、公共事業削減4兆円など計13兆円のデフレ政策を断行した。結果、’97年秋に三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行、翌年には日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が破綻し、日本は不況地獄に陥ってしまった。

 ’98年の参院選では、自民党は65議席から44議席と21議席も減らし、橋本内閣は退陣に追い込まれた。
「安倍首相在任中の悲願は1に『憲法改正』、2に『憲法改正』です。そのプロセスは国会発議、改正のため、衆参で3分の2を確保することが絶対条件で、今が最大のチャンスなのです。4月の統一地方選挙後、5月からは新元号の幕開けとなる。6月はG20サミットも日本で開かれ、安倍政権は国民に存在感をアピールすることができる。そして、今年はラグビーW杯、来年は東京オリンピック・パラリンピック…すべてが祝賀ムード。そんな中『日本の景気のため、消費税の増税を先送りする。その信を問うためダブル選挙を行います』と発表すれば、国民へのインパクトは大きい。自民党の大勝は間違いない。プラス安倍悲願の憲法改正も実現化へ向け大きく近づくのです」(自民党関係者)

 消費増税反対の大合唱だった野党は、対抗策を失いボロ負けの様相だ。

 衆参ダブル選に1人だけ“あっそう”?

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