菜乃花 2018年10月04日号

酷評… スマホゲーム配信延期 任天堂 DeNAの同床異夢

掲載日時 2015年11月17日 10時00分 [社会] / 掲載号 2015年11月26日号

 「やっぱりゲームのことを分からない奴が社長になったのは、任天堂にとって不遇だね」。こんな刺激的な言葉がネット上に飛び交っている。
 任天堂は10月29日、年内に配信の予定だった同社としては初となるスマートフォン向けゲームアプリ『Miitomo(ミートモ)』の配信を来年3月に延期すると発表した。これを受けて株価は急落、前日比8.97%も下落した。
 同社だけではない。3月に資本提携し、スマホアプリの共同開発を進めてきたDeNAに至っては、14・93%も下落した。両社のスマホ提携が期待を集めた分、先送りされたことによる失望の大きさを物語る。

 問題は先送りの理由である。任天堂の君島達己社長は「アプリの一層の品質向上と、スマートデバイス事業全体の最適化を考慮した結果」と説明し、さらに「年末商戦は既存の商品群でしっかり戦い、その後に(スマホゲームの)第1弾を説明するのがいいと判断した。(来年3月期への影響については)もともと大きなインパクトを考えていなかったので配信を3月にすることの影響はほとんどない」と付け加えた。しかし、配信の時期が年末と来年3月では業績に与える影響が全く違う。だからこそネット上では「殿、御乱心」とばかりの書き込みが溢れ、株価が急落したのだ。
 「投資家やファンが落胆したのは、何も配信時期の先送りだけではありません。第1弾投入ならば誰しも任天堂を代表する人気キャラクターのマリオを考えますが、意外にも自分の似顔絵を基にしたキャラクター『Mii』を使ったスマホゲームだったこと。スマホでマリオが遊べると期待した向きが多かっただけに、先送りとのダブルショックが大きかったのです」(証券アナリスト)

 なぜマリオ投入を見送ったのか、君島社長は会見の場で言及しなかった。だからこそスマホゲームの配信延期ともども「奥の院で何があったのか」と関係者は騒々しい。
 一つの鍵を握るのは旧三和銀行出身の君島氏自身が9月16日付で就任したばかりの“若葉マーク付き社長”ということだ。前任の岩田聡社長が7月に死去したのに伴い、竹田玄洋専務と宮本茂専務が社長職を代行してきたが、約2カ月の社長空白期間を経て君島常務(当時)が就任し、3人による集団指導体制がスタートした経緯がある。
 「任天堂がDeNAと提携し、スマホ向けゲームに乗り出すと発表したのは今年の3月です。実は任天堂、数年前からDeNAのラブコールを受けていたのですが、かたくなに拒んできた。宮本専務が率いるソフト開発部門がスマホゲームに関心を示さなかったことが大きい。ところが岩田社長は守安功DeNA社長の激烈なラブコールに根負けし、宮本専務を半ば強引に説得して資本・業務提携にこぎ着けた。そんな岩田社長の置き土産だけに、彼の死去直後から『ソフト開発部門の巻き返しがあるのではないか。下手すると修羅場になる』と騒々しかった。図らずも今回、そんな観測が的中した格好です」

 そう膝を乗り出すのは任天堂ウオッチャー。返す刀で、こう続ける。
 「そもそも、任天堂とDeNAが提携したこと自体が同床異夢だった。任天堂は今年3月期に4年ぶりでやっと営業黒字に浮上したように、新たな生き残り策を迫られていた。一方、モバイルが主力のDeNAにしても、今年3月期は営業利益が半減し、優秀な社員が次々と退社している。これに危機感を抱いた創業者の南場智子女史が6月に代表権を持つ会長に復帰し、守安社長への目配りを怠らない。任天堂の宮本専務が『提携は簡単に解消できないが、課金収入を増やすことが最大の目的のDeNAにマリオを利用されてたまるか』と距離を置き、それが君島社長との綱引きに発展したとしても不思議ではありません」

 だからこそ、第1弾がコミュニケーションアプリの『ミートモ』だったとの見立てである。実際、任天堂は無料のコミュニケーションアプリで顧客を取り込み、今後投入するゲームアプリでキャラクターに触れる機会を増やし、家庭用ゲーム機に引き込む戦略を描いている。
 しかし、前述した2つの誤算(延期とマリオ外し)はDeNAとの協業がギクシャクしていることをあらためて印象付ける。
 「君島社長は根が銀行屋だからゲーム機戦略に疎い。第一、本人はワンポイント・リリーフのつもりで社長ポストを引き受けた。3人の集団指導体制といっても、ゲームソフトやハードの開発などの専門領域は2人の専務に任せているのです」(経済記者)

 その“お飾り社長”が本音をひた隠し、シャーシャーと記者会見したのだから罪深い。

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