葉加瀬マイ 2018年11月29日号

【話題の1冊】 著者インタビュー 宮崎学

掲載日時 2018年09月06日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年9月13日号

『山口組と日本 結成103年の通史から近代を読む』 祥伝社 860円(本体価格)

★ヤクザは形を変えて生き残っていく
――久しぶりの書きおろしです。
宮崎 古希をすぎて体力の問題もあって時間がかかってしまいましたが、なんとか上梓できました。まだ年内に刊行予定の書籍があるのでがんばります。
 本書では駆け足で山口組の103年間をたどりましたが、山口組の歴史は日本の近代の歴史そのものであり、ヤクザは日本人の鑑だと改めて思いました。ヤクザたちの行動は世間の欲望や悲しみを常に反映しており、だからこそヤクザをテーマにした映画や書籍は人気があるのでしょう。

――山口組は創立100年を迎えた2015年の分裂が今も尾を引いているようです。
宮崎 そうですね。'17年にはさらなる分裂も起こりました。今でも毎日のようにさまざまな「情報」が聞こえてきます。
 そもそも誰も不満を言わない組織などあり得ません。ヤクザの歴史はけんかの歴史であり、分裂も起こるべくして起こったといえます。ただ、今回の分裂の背景には、過剰な暴力団排除があります。ヤクザが歓迎された時代などありませんが、ここまでひどい排除はありませんでした。
 暴力団排除によってヤクザがヤクザとして本当に食えなくなっていることが、分裂の大きな要因です。大規模な抗争には至っていませんが、殺人を含めて事件も多発しています。

――暴力団排除によって生活ができなくなったことで「貧困暴力団」の犯罪も問題になっています。
宮崎 「貧困暴力団」というのは、ネーミングの問題の気もします。確かに特殊詐欺や密漁など「ヤクザらしくない」といわれる犯罪が目立っていますが、詐欺や密漁をシノギにしているヤクザは昔からいました。それほど多くはないだけです。
 ただ、大規模犯罪にLINEが使われるなどテクノロジーの発達がヤクザのシノギに活用されているのは興味深いですね。また、覚醒剤の密輸などは以前からそうでしたが、いろいろな組織が同じ犯罪に加担する例が増えているようです。最近では、'16年の19億円がいっせいにATMから引き出された事件では、複数の組織の関与が指摘されています。こうしたことは、今まではありませんでした。

――もはやヤクザの時代は終わり、「絶滅危惧」の存在だといわれています。
宮崎 この本にも書いていますが、私はそうは思いません。「昭和のヤクザ」や「平成のヤクザ」が時代とともに消えるのは当然です。いいか悪いかは別として、ヤクザは形を変えて生きて行くでしょう。「21世紀型のヤクザ」の時代は、これからも続くのです。
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宮崎学(みやざき・まなぶ)
1945年京都生まれ。権力や差別など社会の「闇」に関する著書多数。月刊誌『週刊実話ザ・タブー』にて『宮崎学 ブッタ斬り時報』を連載中。

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