彩川ひなの 2018年7月5日号

2人の女医から5500万円詐取! 6股男“夜の美容クリニック”錬金術(2)

掲載日時 2017年08月28日 23時00分 [事件] / 掲載号 2017年8月24・31日号

 村本の正体は、バーや中古車販売店を経営する名ばかりの“実業家”だった。ネット上で公開している自分のブログには、高級車と一緒に写った写真や購入したブランド品を自慢する記事を掲載していたが、中古車販売店の経営実態はなく、従業員もいない。早い話がホスト上がりの夜の商売人で、「バーや中古車販売店ではもうからない。美容クリニックを営業できれば、自分の人脈を使ってバンバン客を送り込めるし、相当もうかるだろう」という目算から、何が何でも医者を巻き込む必要があったのだ。
 原則として、クリニックは一医師につき一医院しか開業できない。村本は夜の世界で培った手八丁口八丁で現役の女医を口説き落とそうと企て、精神科医を名乗って婚活サイトに登録。偽造した医師免許を見せて信用させ、「将来は一緒にクリニックを経営しよう」とプロポーズ。それに引っ掛かったのが名義人になった女医だったというわけだ。

 さらに悪質なことに、村本にはラウンジホステスをしている本命の彼女(27)がいた。妻とは1年前から別居状態で、離婚届を渡して話し合いをしていたというが、2人の子供の養育費などを支払うためにも金が必要だった。
 村本は女医の医師免許証を無断でコピーし、本命の彼女に頼んで女医に成り済ましてもらい、銀行でクレジット機能付きのキャッシュカードを発行させた。それを使って村本は2回にわたり、計500万円をATMから引き出した。
 さらに女医の健康保険証を使い、クリニックの開業資金として1500万円のローンを申請。銀行の担当者は女医の勤務先の病院に電話したが、「在籍しています」の一言で信じてしまった。こうして村本はまんまと計2000万円を手に入れた。

 だが、女医のもとに借り入れを示すハガキが届き、女医が激怒。「勝手にローンを組まないで!」と村本を問い詰めたが、「クリニックの開業に必要だったから」と言い訳した。
 これで女医とは破局してしまい、マンションからも追い出されたが、警察への届け出をほのめかす女医に対し、「必ず返すから」と引っ張り続け、村本としては女医に代わり、診察も可能な新たな医者を早急に見つけ出す必要があった。
 そこで出会ったのが“第2の被害者”というべき真樹さんだったのだ。

 村本は周囲の状況を磐石にするため、真樹さんと同棲して3カ月ほどした頃、こっそり妻とも離婚した。“2人だけの結婚式”を挙げた後は、真樹さんにもクリニックを手伝ってもらい、その収益を分配していた。
 客は村本がホスト時代から付き合いのあった夜の女たちばかり。そのうちの1人は本命の彼女も知らない浮気相手であり、〈今日は来てくれてありがとう。大好きだよ〉などとLINEを送っていた。
 さらに万が一に備えて、例の方法で引っ掛けた“第3の女医”とも付き合っていた。この女医には非常勤の医師として、村本の美容クリニックでニンニク注射などをさせていた。妻も含めれば、これで“六股”だ。

 村本は複数の女たちを巧みに操り、真樹さんから奪った金を名義人の女医に返済しつつ、他の相手とも交際する費用に充てていたが、そのカラクリがバレてしまい、詐欺や窃盗、有印私文書偽造および同行使などの疑いで逮捕された。
 「被害者をガッカリさせたくなかったため、ウソばかりついていた。決して騙すつもりはなかった。クリニックが成功したら、お金は利子を付けて返すつもりだった。今はたまたまお金がないけど、今までも、自分は借りたお金は必ず返してきた。被害者には絶対に全額弁償します」

 村本の事件は知られざる女医の結婚事情まで露呈させた。女医は学生時代から勉強に追われ、医師になっても激務で時間がなく、職場以外で出会いを見つけるのも難しい。そうなると知人の紹介が最善ということになるが、自分が求めるような理想の相手はなかなかいない。そのジレンマを抱えたまま、アッという間に年齢を重ねていってしまうのだ。
 だが、村本の関心はもともと女医ではない。本命の彼女は“共犯者”として捕まったが、不起訴処分になった。村本は不動産業者として再出発するというが、その前に懲役刑が待っているのは間違いないだろう。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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