菜乃花 2018年10月04日号

熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times 日本人No.1リリーバー 上原浩治よ、さらば

掲載日時 2017年10月11日 15時00分 [スポーツ] / 掲載号 2017年10月19日号

 昨年のワールドシリーズを制したカブスに、上原浩治が今季、好条件で迎えられた理由の一つは、ポストシーズンでの活躍を期待されたからだ。そのためカブスはシーズン前半、上原を大事に使っていた。
 しかし、その配慮も無駄になってしまった。シーズン後半に入って上原は故障続き。9月に入るとヒザと足の甲に腫れと痛みが出て、さらに13日には腰からわき腹にかけて痛みが出るようになったため、今季(レギュラーシーズン)中の復帰が困難になったのだ。
 現在はチームに帯同せず、シカゴに残ってリハビリに専念している。「プレーオフのどこかで投げられるようにしたい」と語っているが、その願いが叶う可能性は極めて低い。
 「もし、腰からわき腹にかけての痛みが急速に改善されたとしても、カブスはリリーフ陣に人材が豊富。故障明けで、どの程度投げられるか分からない上原をあえて使う必要はない」(スポーツ専門局のアナリスト)

 そうなると、メジャーのリリーフ投手の中で、最高齢(42歳)、故障リスクも高くなった上原に残された選択肢は、一つしかない。引退である。
 上原は昨年オフ、レッドソックスが契約更新を見送ったあと「契約してくれる球団がなければ引退する」と語っていたが、幸いカブスからオファーが来たため現役を続行。しかし今オフは、どこからもオファーは来ないだろう。

 上原はレ軍で2シーズン、クローザーを務め、'13年のWシリーズ制覇の牽引車になった。そのため、いまだにボストンに多くのファンがいて、メディアも彼の去就に注目している。その中で、人気野球サイト『ファンサイド』のように、上原が引退確実になったとみて『古い友人上原浩治の魅力あふれる野球人生』という、引退を前提とした長い記事を掲載したところもある。今季レ軍は地区優勝したため、ボストンの野球メディアの話題は今のところポストシーズンのことで持ち切りだが、それが済めば上原を称える記事を次々に掲出することになるだろう。
 では、改めて上原がメジャーでどのように評価され、どんな功績を残したか、簡潔にまとめてみたい。

 上原は'09年に34歳でメジャーデビュー。当初は先発で使われていたが、1年目12試合に先発したところで肘の靱帯の部分断裂が判明。6月23日の登板を最後にDL入りしてシーズン終了まで復帰できなかった。2年目は先発で投げると肘に負担がかかるため、リリーフで投げることを余儀なくされたが、ここから上原はリリーバーとして進化を遂げていった。
 上原がメジャーリーグで上げた功績を上げると次の5つになる。

(1)日本人のリリーフ投手で№1の働き
 これまでメジャーの、主にリリーフで投げた日本人投手は24人いるが、その中でNo.1の働きをしたのが上原だ。リリーフは日本人選手が最も活躍する分野だ。過去に佐々木主浩、長谷川滋利、大塚晶文、斎藤隆、岡島秀樹、田澤純一らがクローザーおよびトップセットアッパーとして活躍した実績があるが、貢献ポイントであるWARをベースに比較すると、上原は最もポイントが高い。

(2)クローザー不在のレッドソックスで最強の守護神に
 レ軍は'11年に守護神パベルボンがチームを去ってからクローザーを固定できない状態が続いていた。しかし、'13年6月下旬に上原がその任に就いてから、終盤にひっくり返される試合が激減。前年のア・リーグ東地区最下位から一気にWシリーズを制覇したが、最大の功労者が上原だった。

(3)「メジャーで一番の制球力」と高い評価
 抜群の制球力を誇る上原は'10年にリリーフ専業になった後、'15年までの6年間、与四球が連続して一桁で、メジャーで最も四球を出さない投手と見なされるようになった。メジャーではリリーフ投手の実力を測る指標としてWHIP(1イニング当たりの被安打+与四球)が重視されるが、上原は'11〜'13年の3年間、これがメジャー全体(20イニング以上)でぶっちぎりの1位だった。

(4)全米で最も辛辣なファンが「コージ!」と熱狂
 レッドソックス・ファンは阪神ファンに似た体質で、熱狂的で口うるさいのが特徴だ。しかし、好きになった選手はとことん応援する。'13年6月下旬にクローザーに指名された後、上原は26試合無失点、37人連続アウトなどをやってのけた。米国の“甲子園球場”であるボストン・フェンウェイパークのファンは上原を「コージ、コージ」と呼んで三振ショーに熱狂した。

(5)ポストシーズン男
 日本人投手はポストシーズンではあまり活躍できないが、上原は別だ。'13年のリーグ優勝シリーズでは5試合に登板し無失点。1勝3セーブをマークし、日本人投手で初のMVPに輝いた。

 上原の功績はまだまだある。しかし、大リーグファンなら、少なくともこの5つはいつまでも記憶にとどめておいていただきたい。

スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)
今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。

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