菜乃花 2018年10月04日号

甲子園球児ドラフト最前線 金足農・吉田投手「巨人強奪」、大阪桐蔭「阪神嫌厭」

掲載日時 2018年09月10日 17時00分 [スポーツ] / 掲載号 2018年9月13日号

 巨人は大わらわ、阪神は我が道を行く…。今秋のドラフト会議もひと波乱起こりそうだ。主役は、金農フィーバーを巻き起こした金足農業高の吉田輝星投手。夏の甲子園準優勝の報告会見で好きなプロ球団を聞かれ、「巨人」と明言。記者団の「行きたいか?」の問いにも、ハッキリと「行きたいです!」と意思表示した。

 そして8月23日、横浜スタジアムを訪れていた巨人・鹿取義隆ゼネラルマネジャーが記者団に囲まれた。最初、鹿取GMは応じようとしなかったが、その執拗さに根負けし、「スカウトから高い評価が上がっています」とだけ返答。久々のラブコールを受けたのに、なぜか関係者の口は重い。

 「巨人のドラフト戦略は完全にやり直しです。今年のドラフトでは、大学生の即戦力投手を指名する予定でした。吉田投手の1位指名に切り換えるとしても、他球団との重複は必至で、抽選に外れればワンランク下の投手しか残っていませんから」(球界関係者)

 夏の甲子園で、「赤マル急上昇」となった吉田投手。しかし、一部報道でも伝えられたが、大会前は「進学の方向」で固まっていたという。さらに、担当スカウトは「いい投手だから見てくれ」と報告していたが、“上”は確認程度にしか考えていなかったのだ。それが、甲子園でのピッチングを見て、12球団の顔色が変わった。

「吉田は2年生のときからエースでしたが、試合終盤に打たれる“ガス欠癖”がありました。本人の努力と金足農監督と懇意にしている大学の監督がアドバイスし、急成長したんです」(高校野球に詳しいスポーツライター)

 吉田はまだ進路を明確にしていない。プロ志望届を出したとして、巨人が指名回避した場合、人気者ゆえ日本中を敵に回しかねない。

 「日本ハムは身体能力の高い根尾昂内野手(大阪桐蔭)に興味を示していました。でも、巨人にしか行かないと言った菅野智之、メジャー志望の大谷翔平を指名した過去もあるので、吉田に切り換えてきそう。西武は菊池雄星のメジャー挑戦が重なるので、富士大の左腕・鈴木翔天。他は即戦力投手の斉藤友貴哉(ホンダ)、150㌔強の速球を投げ続ける日体大の右腕・松本航、東洋大の甲斐野央に指名が集中しそう。巨人は坂本勇人の後継者として2、3位で報徳学園の小園海斗遊撃手も狙っています」(在阪球団職員)

 もともと松本、甲斐野に強い関心を示していた巨人は7月30日、甲子園大会の重要チェック事項の確認を兼ねてスカウト会議を開いた。その様子を知る関係者によれば、根尾と同じ大阪桐蔭の4番・藤原恭大外野手、横浜・万波中正外野手の名前も出ていたそうだ。さらに興味深い証言もある。

 「会議を仕切った岡崎郁スカウト部長は、この時点で吉田に興味を示していました。投手と野手、半数ずつのバランスの取れた指名をすると各位に伝えました」(前出・関係者)

 前述した横浜スタジアムではさほど関心は示していなかったが、昨季の野手偏重のドラフトの仕掛け人は鹿取GM。岡崎部長と意見衝突している可能性もある。

 「同じ東北なので、楽天も1位は吉田になるでしょう。中日は岐阜出身の根尾を放っておけないし、一方であまりの人気に驚き、吉田に切り換えたなんて情報も聞かれるようになりました。今年は高校生に逸材が多く、どの球団も将来性重視の戦略になりそうですね」(ベテラン記者)

 各球団も吉田中心で考えているのは間違いないが、阪神だけは違う。大阪桐蔭の藤原にご執心なのだ。
「糸井嘉男、福留孝介の高齢化がある一方、高山俊が伸び悩んでいます。藤原のバットスイングのスピードは日ハムの清宮幸太郎以上との評価もあります。甲子園で放った3本の本塁打で遠くに飛ばす能力は証明されたが、他球団は外野しか守れないのがネックになって…」(前出・球界関係者)

 藤原の一本釣りもあり得る状況だが、スンナリとはいきそうにない。まず藤原にベタ惚れなのが金本知憲監督(50)ということだ。過去3年のドラフトで、金本監督は現場スカウトが積み上げてきた「即戦力投手リスト」を一蹴、「どうしても!」と野手を1位指名した。昨年も抽選で外れたが、1位入札は清宮だった。

 「金本監督はロサリオ獲得に一枚噛んでいます。映像チェックに関わっており、高山、大山悠輔が伸び悩んでいる状況にも責任がないとは言い切れません。阪神は基本的に金本監督を続投させるつもりですが、ドラフト1位リストを一変させるような権限は許さないつもりです」(同)

 それだけではない。7人がドラフト候補とも伝えられる大阪桐蔭だが、当の彼らが今の阪神には魅力を感じていないという。

 「先輩の藤浪晋太郎が伸び悩んでいるからです。藤浪の不振は金本政権の誕生から始まっています」(同)

 一本釣りに成功しても交渉が難航する可能性は大だ。

 吉田争奪戦の裏で、DeNA、ソフトバンク、オリックスが堅実なドラフトを進めてくる。巨人は相思相愛を宣言するのか…。トラ同様、金の卵の前で一枚岩にはなれないようだ。

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