菜乃花 2018年10月04日号

犯行時間帯に彼女とSEXしていた空白の26分間路上強姦魔のアリバイ(2)

掲載日時 2015年09月12日 23時00分 [事件] / 掲載号 2015年9月17日号

 木野はつまらないケンカが原因で、警察に傷害容疑で逮捕されていたが、相手が示談に応じてくれたため、釈放されることになった。その際、警察は木野の口腔内細胞を採取したが、それが千里さんを襲った犯人の精液のDNAと一致したのだ。
 「オレはやってない。その女をここへ呼べや!」
 木野は頑強に否認。「その日は彼女と一緒にいた」と説明した。木野には2年前から交際している婚約者がいた。お互いの両親も公認している仲で、千里さんが襲われた日も木野は彼女の実家に泊まっていた。
 「それを証明できるか?」
 「もちろん。彼女に聞いてもらえばいい。実家にいた両親やお兄さんに聞いてもらってもいい」
 婚約者の家族も同様の証言をした。なのに、強姦犯人は木野であることを示している。警察は木野のアリバイを崩そうと、事件当日の行動を徹底的に調べた。

 木野は19時ごろに仕事が終わり、自宅で着替えてから彼女の家に行った。それが20時30分ごろ。そこで一緒にケーキを食べ、なじみの寿司屋へ。その帰りにレンタルビデオ店に行き、23時ごろにDVDを借りたところまでは店の防犯カメラなどから裏付けられた。
 「その後も彼女と一緒にいたのか?」
 「いや、お兄さんが帰ってきて、『しばらく家族の時間が欲しい』と言われたので、自分は車の中でDVDを見ていました」
 「23時29分に〈トイレに行ってくる〉というメールを送ってるよな?」
 「お腹が痛くなったから、コンビニに行ったんです。ついでに時間つぶしでドライブしていました」
 「その時間帯に事件が起きているんだよ。キミが現場近くを走行していたことは、Nシステムや防犯カメラからも確認されている」
 「だからって、強姦した証拠にはならないでしょう」
 「でも、被害者が吐いた唾液からキミの精液の細胞が検出されている」
 「それはおかしい。鑑定が間違っている。そんなことはしていない!」
 木野は頑として容疑を認めず、弁護士にも「やってないならやってないと言うべきだ」と励まされ、被害者との示談交渉も断った。木野の婚約者も「力づくでセックスされたこともないし、暴力を振るわれたこともない。そういう趣味はないと思うし、当日もいつもと変わりなかった」と証言した。木野の勤務先の建設会社も無実を信じて、木野を懲戒解雇しなかった。

 犯罪の立証責任はあくまで捜査側にある。被害者を脅して連行し、イラマチオして射精した犯人が10分後には彼女の部屋でセックスしていたのである。木野の公判では、かつて木野を取り調べた警察官や科捜研の職員ら7人が呼ばれ、どのような経緯で精液を採取し、どのような検査方法で特定したのかを詳しく説明させられることになった。
 唯一の証拠は精液のDNA鑑定だけである。検察は「空白の26分間」について追及するしかなかった。
 「あなたが0時13分〜0時39分まで、一度もメールの返信をしていないのはなぜなんですか?」
 「車を運転していたからですよ。その後、彼女に〈まだかい?〉とメールしたら、〈もういいよ〉と言うので、家に戻った。自分は彼女に満足している。彼女のことが大好きだから、他の女には全く興味がない。その夜も彼女とエッチするのが分かりきっているのに、なぜその直前にレイプなんかするんですか?」

 その通りだ。木野が犯人だとしたら、その間隙を縫って強姦しようとした理由は何なのか。木野に性犯罪の前科がなかったことも情状面では有利に働いた。
 「自分は犯人ではありません。レイプには全く興味がない。事件に関係ない人間が捕まり、真犯人が外でのうのうとしている。警察や検察はもっとちゃんと調べてほしい。犯人でないのにずっと拘留されて苦しいです。彼女のためにも無実を証明したい。真犯人を早く捕まえて下さい!」

 だが、裁判所は「被害者と被告人は面識がなく、精液が付着する機会は事件現場以外に考えられない」として、懲役4年を言い渡した。木野は天を見上げ、即日控訴した。現在も高裁で争っているが、4兆7000億人に1人の割合で特定されるDNA鑑定を覆すのは、並大抵ではないだろう。
(文中の登場人物は全て仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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