葉加瀬マイ 2018年11月29日号

本好きリビドー(184)

掲載日時 2017年12月23日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年12月28日号

本好きリビドー(184)

◎快楽の1冊
『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 TBSヴィンテージクラシックス編 講談社 1500円(本体価格)

 ある世代間で共通体験を探る際の話題に、アメリカだと「ケネディ大統領が暗殺された日にどこで何をしていたか」というのがお約束の問いだそうだが、日本の場合は前半を「三島由紀夫が自決した日」にそっくり置き換えられるのではなかろうか。
 筆者は三島没後に生を享けた一読者に過ぎないが、個人的にファンとして毎年11月25日の憂国忌がくれば作品はもちろん、どんな断簡零墨の類でもよい、何か彼の文章を偲び読むことを勝手に日課ならぬ年課としている。あらゆる資料は掘り尽くされて、徳川埋蔵金以上の確率でもう出ないだろうと囁かれる三島関連の素材だが、ここにきてTBS社内の倉庫から“放送禁止”扱いのまま死蔵されていたインタビューの収録テープが発見された。それをこのたび活字化したのが本書だ。
 よく“喋ったまんまをほぼ無修正で手を加えずに単行本にできた”と、都市伝説的に語られる彼の面目は本書中も躍如で察して余りあるもの。惚れぼれするくらい、明朗にして快活な知性が行間にほとばしっている。対話の相手は英国人の翻訳家なのだが、“平岡公威”という自分の本名を英語に訳(?)せば「プレーンヒル・パブリックディグニティ」だと呵呵大笑するところなぞ、三島さん、昔「ジャングルハウス! スリーガス!」って叫んでた先代の林家三平師匠じゃないんスから…と突っ込みたくなるチャーミングさ。とても9カ月後に壮絶な割腹を遂げる人物の話しぶりとは思えない。
 「僕がやっているどんなバカなことも」「あそこにみんな書いてある」「あれを読んでくれればわかる」と本人が断言する評論的自伝風エッセイ『太陽と鉄』が併録なのも、編集が行き届いていて心憎い。
(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 「巨乳」という言葉は今でこそ一般に流布しているが、週刊実話の読者世代が若かりし頃は「ボイン」「デカパイ」などと言われていたはずだ。一体いつ頃から使われ始めたのか?
 そんな素朴な疑問を起点に日本における巨乳の歴史を解説したのが、ライターの安田理央氏の最新刊『巨乳の誕生』(太田出版/1600円+税)である。
 懐かしい名前が数多く登場する。
 1967年、大橋巨泉に『11PM』で名指しされ、流行語にまでなった「ボイン」の元祖・朝丘雪路、グラビアアイドルのパイオニア、アグネス・ラム。70年代“オナペット”の象徴的存在だった「りんごヌード」の麻田奈美、AV創世記のDカップ女優・中村京子、薄幸のアイドル・堀江しのぶ、そして、「巨乳」の言葉を生んだ伝説の松坂季実子…。
 名前を聞いただけでワクワクするではないか。
 巨乳の女性がメディアを震わせると、当初はDカップでも十分にデカかったおっぱいは、E・Fと段階的にエスカレートし、ついに100センチ超、ブラカップ国産最大サイズの“I”の女性まで登場するに至る。マスコミが巨乳を話題にするにつれ、大和撫子のバストも次第に成長してきたフシがあるワケだ。さらに毎月1日は「巨乳の日」と呼ばれていた(知ってました?)など、笑える知識も豊富で面白い。
 日本社会の成長と共におっぱいもより大きく、成熟してきたのだろうか。そのヒストリーを紐解いた読み応えのある1冊となっている。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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