菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 山田ルイ53世 『山田ルイ53世 ヒキコモリ漂流記』 マガジンハウス 1,300円(本体価格

掲載日時 2016年01月24日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年1月28日号

 −−中学卒業から20歳まで“ヒキコモリ生活”をしていたそうですが、その間、自分の将来のことはどう考えていましたか?

 山田 もう「人生がだいぶ余ってしまったな〜」という心境でしたね。それまでの僕は、運動も勉強もできる優秀な自分という“神童感”と呼んでもいい感情に、どっぷり肩まで漬かって生きてきたので、ある意味、諦めるのに時間がかかったんです。「優秀だった自分がこのまま終わるはずがない! これはあくまで仮の姿だ!」と思い込もうとしたのですが、かつてのクラスメートたちの青春の謳歌ぶりが親などを通して耳に入ってくるたびに、「それに比べて自分は…」と自己嫌悪に苛まれました。自分はトップグループだったはずなのに、途中で立ち止まってしまい、どんどん周りから抜かれていく。極度の自己嫌悪になり、しんどくて前にも後ろにも進めない…そんな状況でしたね。

 −−成人式をきっかけにヒキコモリを脱しました。やはり10代までは大丈夫という意識があったのですか?

 山田 ただの焦りです。成人式という「大人」になる儀式を同世代が通過してしまっては、いよいよ手の届かない“圏外”に行ってしまう。それまで自分を「まだ大丈夫や、俺は優秀なんだから、本気出したらいつでも追いつけるんだ」と、そんなふうに誤魔化していましたが「これはいよいよマズイぞ」と思いました。それから一念発起して大検をとりました。限界ギリギリのタイミングになって、初めて「とりあえずやる」という“境地”に達することができたんです。以来、僕にとって「とりあえず」という思考は、とても強い選択肢というか、考え方のツールになっています。「とりあえずやる」は最強なんです(笑)。

 −−ご両親とはあまり会う機会がないそうですが、自身が親となった現在、ご両親に対する思いというものは変わりましたか?

 山田 今思えば、随分とかわいそうなことをしてきたなと思っています。両親にも自分たちが思い描く素敵な人生があったはず。なのに、僕がそれを壊してしまった。子供というのは、どうしても「親の人生なんてもう終わってる」と思いがちですが、もちろん実際はそんなことはありません。今は特に確執があるわけじゃないのですが、単純に気まずいだけかもしれないですね、お互いに。その分、僕の妻が気を遣ってくれています。たまに、3歳になる娘を連れて両親のところに顔を出したりしてくれています。本当に頭が上がりませんね。
(聞き手:程原ケン)

山田ルイ53世(本名:山田順三)
お笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。兵庫県出身。地元の名門・六甲学院中学に進学するも、引きこもりになり中途退学。大検合格を経て愛媛大学法学部夜間コースに入学。その後、大学も中退して芸人の道へ。

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