中川祐子 2019年1月31日号

誰もしら内容い“吸血鬼”殺人事件 殺人鬼は何のために被害者の生き血を吸ったのか?

掲載日時 2019年01月12日 12時00分 [事件]

《この下に白骨死体あり。110番通報頼む》

 2011年4月、岐阜県下呂市の山中の道路にこんなメッセージが書かれた三角表示板が置かれていた。それを通勤途中の温泉旅館の仲居が発見したことから、世にも奇怪な事件が幕を開けることになった。

 通報を受けた岐阜県警高山署が付近を捜索したところ、ほぼ白骨化した女性の遺体を発見。その遺体は約1カ月前から行方不明になっていた長瀬まゆみさん(44)であることが分かった。

 高山署は長瀬さんの交遊関係を捜査するうち、勤務先のコンビニで同僚だった後藤明弘(当時46)を浮上させた。後藤は同署に任意同行を求められたが、その際に契約が切れたもう一台の携帯電話を大事そうにセカンドバッグに入れたところを捜査員は見逃さなかった。

 その携帯電話を調べたところ、『死に際』というフォルダがあり、「レ・ティ・リー」というベトナム人女性の名前と共に、遺体を切り開いて内臓を露出させた写真などが見つかった。しかも、その写真には〈寝ている娘の頭めがけて鉄パイプを振り下ろし、首を絞めて殺した〉という犯行の経緯が、小説のように細かく書かれていた。

 岐阜県警は2006年7月に発生し、未解決事件になっていた愛知県豊川市のベトナム人女性殺人事件の捜査本部に連絡。後藤はまず、ベトナム人女性のレ・ティ・リーさん(24)に対する殺人容疑で愛知県警豊川署に逮捕された。

 死因は首を絞められたことによる窒息死。頭にも鈍器で殴られたような跡があった。だが、問題はここからで、レ・ティ・リーさんの遺体は胸が切り裂かれており、その傷口から血をすすったような跡があった。そこに残されていた唾液のDNAが後藤のものと一致したんです」(捜査関係者)

遺体が語る“不自然”な痕跡
第一発見者の男性も次のように語る。

 「レ・ティ・リーさんは布団に横たわっていたが、何か不自然な感じがした。何で遺体に血がないのか、布団にもシワ一つない。不思議でしょうがなかった」

 その後、後藤は長瀬まゆみさんに対する死体遺棄や殺人容疑などでも再逮捕されたが、やはり長瀬さんの遺体についても内臓の写真を撮っているのだ。

 「後藤は死体の存在を警察に知らせるどころか、死体の足を開いて性器の写真を撮影したり、裂かれたお腹にも手を差し入れて臓器の写真を撮影している。公判では白黒写真にして開示されましたが、それを見た裁判員の若い女性は気分が悪くなり、自力で立つこともできなくなったため、公判が中止になったこともありました」(岐阜地裁詰め記者)

 もっとも、後藤は「なぜそんなことをしたのか分かりません」「内臓を見たいと思ったこともないし、性的興味を感じたこともありません」と、自身の性癖を否定している。研究が進んだ海外では報告例が多いが、ネクロフィリア(死体性愛者)は幼少期から孤独で、恐ろしい事件を起こして捕らえられても、かつての教師やクラスメートは彼をほとんど覚えていないことが多い。「あまり人と付き合わず、問題を起こしたこともない」という印象だ。

 後藤もこれと全く同じなのだ。幼い頃を知る近所の人たちは「大人しくて礼儀正しい子だった」と口をそろえ、中学時代の同級生は「2クラスしかなかったのに、ほとんど印象にない」と話す。

 「からかわれても、怒って向かってくるようなタイプじゃない。ひたすら耐えて黙っているような奴だった。年下からも『ガンキン(ばい菌の意味)』と呼ばれ、バカにされていた。校時代は不良たちのパシリにされていたと聞いている」

 その鬱憤を晴らすため、異常な空想を積み重ね、犯行に駆られたのだろうか。


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