葉加瀬マイ 2018年11月29日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 ずっと続けてほしい、「平田家」の物語 『家族はつらいよ2』

掲載日時 2017年05月23日 14時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年6月1日号

 何気ない家族の「事件」を喜劇仕立てにした、山田洋次監督の『家族はつらいよ』の続編。前作でおなじみの橋爪功や西村雅彦をはじめ、芸達者な役者達が演じるキャラ設定も理解できた今、またこの家族に会えたうれしさで、見ていてホッとします。このシリーズ、ずっと続けていただきたいと願うばかりです。

 今回の「事件」の発端は、橋爪功演ずる周造の「高齢者の免許返納問題」だったので、まず、そこに引き込まれました。
 というのも、このところ自分の目に白内障と緑内障の症状がダブルで現れ、視力が落ちまくっていまして、矯正視力がおそらく基準値に足りていないので、今や運転ができません。手術をすれば回復できそうなのですが、もうこの際、免許を返上してしまおうかと思っていたところでした。周造の場合は「年寄り扱いするな。免許の自主返納なんてとんでもない」とゴネますが、自分はもう運転はいいかなと。
 先日、所用で警察に行った際に、運転免許証代わりに無期限で身分証明書として使える「運転経歴証明書」なるものの存在を知りました。レイアウトは運転免許証そっくり。免許返納後も写真付き身分証明書として使いたいから、というニーズに応えたもののようです。
 とまあ、実に今日的なテーマで、たちまち話に引き込むところが、手練の名監督たるゆえんですね。

 そして、周造が長年疎遠だった同級生と再会し、たまたま自宅に泊めたところ、朝になったら亡くなっていたというところから事態は一変します。
 実は最近、自分も母親が急逝しまして、リアルに葬式を出したところです。何かと引き比べてしまったのは言うまでもありません。
 焼き場での最後のお別れの際に、お棺の蓋の小窓を開けるシーンがありましたが、自分ちの場合はそれがなかった。今時はないのかと残念に思っていましたが、やはり、アリなんじゃないかと。
 母は何かと怖がりだったので「大丈夫だよ。怖くないよ」と言ってやりたかったのですが、それもかなわず…。自分も親世代どころか同級生の友人の死も珍しくなく、死を身近に感じる年代に突入してしまいました。

 ところで、こんなドタバタがあったとは露知らず、周造の妻・富子は北欧旅行に出掛けて、オーロラの写真とともに呑気なメールをよこします。私もすでに5回見ていますが、オーロラってなかなかうまく撮れないんです。「おいおい、スマホでそんな簡単に撮れないよ〜」と思わず突っ込んでしまいました。

画像提供元:(C)2017「家族はつらいよ2」製作委員会

■『家族はつらいよ2』監督/山田洋次 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優ほか 配給/松竹 5月27日(土)全国ロードショー。
 周造(橋爪功)と富子(吉行和子)の熟年離婚の危機から数年。マイカーでのドライブが趣味の周造だが、車のへこみ傷が目立ち始めたことから、高齢者の危険運転を案じる家族たちは運転免許証を返納させようとする。しかし、頑固な父を説得する役回りを兄妹夫婦でなすりつけ合っているのを見た周造が大激怒。平田家は不穏な空気に包まれる。そんなある日、富子が旅行に出掛けたことで周造は、お気に入りの居酒屋の女将を乗せてドライブ。その途中で、故郷の同級生と偶然再会し、自宅に泊めるが…。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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