和地つかさ 2018年9月27日号

黒田の抜けた広島カープの強さは「本物」か「鯉のぼり」までか

掲載日時 2017年04月25日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2017年5月4日号

 開幕5カードを終えて、貯金8。リーグ連覇を狙う緒方カープは10連勝も達成して、11勝3敗1分け。2位阪神とのゲーム差は、すでに2.5(4月17日現在)と開いており、2年続けて『独走態勢』の土台を築きつつある。だが、広島東洋カープには“悪しきジンクス”もあるのだ。
 好調なのは「鯉のぼりの季節まで」――。

 昨季も、前半戦は勝率5割ラインを超えた程度で、独走態勢となったのは中盤戦以降だった。今シーズンは出だしがあまりにも好調すぎただけに、ジンクスを知るカープのオールドファンは、勝てば勝つほど不安を覚えてしまうようだ。
 「巨人が水面下でトレードを模索しているとの情報が聞かれます。クローザーを予定して獲得したカミネロが早々に打ち込まれ、長野久義が絶不調なので、中継ぎタイプの投手と長打力の見込める野手を狙っています。複数トレードになるのか、ビッグネーム同士の大型トレードになるのかは分かりません。昨年オフに大型補強をして勝てないとなれば、巨人のメンツにも関わります」(球界関係者)

 裏を返せば、巨人サイドは「広島の強さはホンモノ」と見ているのだろう。今、広島の勢いを止めておかなければ、中盤戦以降、戦力を整えたとしても追いつけなくなる…。巨人側の焦りとも捉えられるが、対照的に、「放っておいても、いずれ落ちてくる」と見る球団もある。
 「広島は今季、補強らしい補強はしていません。黒田博樹の抜けた穴をどう埋めるのか。昨季、101打点も上げたベテランの新井貴浩が2年続けて活躍できるのかが連覇のポイントでした。黒田の挙げた10勝分は若い投手で補えるかもしれないが、チームの精神的支柱に代わりはいない。序盤戦の好調さは、新井が4番として機能しているからで、そのいいリズムがどこまで続くかが今後の明暗を分けそうです」(在阪球団職員)

 プロ野球界では「連覇がもっとも難しい」とされている。原因は色々あるが、一つは「選手の慢心」。また、優勝チームだと、フロントも補強に出にくいからだ。
 「野手のほとんどが昨年の成績がキャリアハイでした。他球団のスコアラーも『今年は広島の打撃成績が落ちる』と見ていましたが、新井が好調なのでどうにかなっている状況です。でも、投手陣は分かりませんよ」(前出・球界関係者)
 “慢心”とは違うが、緒方孝市監督(48)は、昨季オフからスポーツマネジメント会社と契約している。現役選手がマネジメント会社と契約することは珍しくなくなったが、監督となると異例中の異例だ。

 また、投手陣の新戦力だが、ドラフト1位・加藤拓也がデビューマウンドで、9回一死までノーヒットノーランの快投を演じた(4月7日)。さらに、ドラフト3位左腕・床田寛樹も巨人戦で先発デビューし、プロ初勝利を飾った。2年目の岡田明丈、4年目の九里亜蓮も順調であり、黒田の10勝分はこの4人で十分埋られそうだ。
 しかし、昨季の沢村賞投手・ジョンソンの調子が全く上がってこない。
 「今、左の先発は新人の床田だけというのが気になります」(スポーツ紙記者)

 経験値の高いジョンソンの復調が、中盤戦以降のカギとなるだろう。
 「田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の『タナ・キク・マル』も好調です。気になるのは、『神ってる』の鈴木誠也ですよ。緒方監督は4番として、鈴木を育てるつもりでしたが、そのタイミングを逸した。開幕前、『4番は鈴木で』と一度言い、その後、『(鈴木の)調子が悪ければ』と、4番固定ではない旨も付け加えていました。緒方監督は就任1年目の'15年も、鈴木を開幕スタメンで使いましたが、すぐに引っ込めてしまいました。不振の選手を我慢して使い続けることを、緒方監督は苦手のように見受けられます」(前出・スポーツ紙記者)
 だとすれば、投手陣を支えている加藤、床田の新人が対戦チームに研究され、負け始めたとき、「ガマンして使い、成長させる」采配にはならないとなる。

 気になるのは、交流戦だ。広島は交流戦を苦手としてきた。'16年は勝ち越したが、過去12年間で「勝利5割ライン」を超えたのは、4季だけ。12球団最下位も3度経験している。
 ここに重なってくるのが、近年のカープ人気である。
 「広島にとって、5月以降は地獄のロードです。苦手の交流戦が始まり、その後は地方遠征も少なくありません。セ球団が地方遠征を組む際、地元の営業サイドが希望するカードは巨人戦でした。『3年に一度は巨人戦を』というやり方でしたが、近年は『広島戦』を要望する地方が多く、広島との主催ゲームを地方で組むチームも増えてきました」(前出・球界関係者)

 全国区人気は喜ばしいものの、地元広島県民が「マツダスタジアムのチケットが取れない」との悲鳴も聞こえてきた。今後、球団も何かしらの措置を取るだろうが、さらなるファンサービスは選手の負担と化す。
 広島の強さが本物かどうか、それは交流戦とその後の地方遠征を乗り越えたときハッキリする。

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