仲村美海 2018年10月11日号

話題の1冊 著者インタビュー 家田荘子 『昼、介護職。夜、デリヘル嬢。』 ブックマン社 1,300円(本体価格)

掲載日時 2016年08月07日 14時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年8月11日号

 −−本書で紹介されている風俗で働いている女性は、一方で「介護職が好き」と言う人も多いです。風俗と介護との間に共通点はあるのでしょうか?
 家田 私が取材をしたWワークの女性たちは、人のお世話をすることが好きな、思いやりのある人たちだと思います。風俗の仕事をするのは、時間が選べ、短時間でわりと稼げるからです。Wワークをしている介護職の人々の多くは、自分のぜいたくのためではなく、離婚後、子育てや親の介護代、家族のつくった借金など、生活のために働いていると言っていいでしょう。

 −−介護の現場では、高齢者の凄まじい性欲とセクハラが横行しているように思えます。これらは避けられないのでしょうか?
 家田 凄まじい性欲ではなく、あくまでも“自然な普通の男性の性欲”なんです。ここを間違えてほしくないのですが、そういった男性が数多くいることが問題なのです。“高齢者に性欲はないもの”と国も家族も考えているから、現在『性の老難民』がとても増えているのです。どうやら男性は紙オムツ交換や入浴で、自分の恥ずかしい部分を女性に見せてしまうと、相手が自分のモノになった錯覚を起こすようです。若い介護職の女性たちは、セクハラに耐えられず辞めていきます。慣れた介護職の人たちは、うまく言葉でかわしたり、先に手を握ってあげたりしているのが現状です。今、セクハラをしているのは、男尊女卑の時代を生きたことのある男性です。女性を下に見ている時代、セクハラという言葉のなかった時代の人たちなので、つい介護士さんに手が出てしまうのかもしれません。もちろん、これらは許されることではありません。

 −−そんな職場に就いている女性たちを今後、社会はどのようにサポートしていけばいいと思いますか?
 家田 “女性が輝く日本”をつくるために、安倍晋三総理は『介護離職ゼロ』という政策を立てました。しかし、3K(危険、汚い、きつい)仕事である介護職は、国から仕事内容と、そのハードさを無視されているとしか思えません。2035年には、3人に1人が高齢者となります。誰もが介護職のお世話になる可能性が高いわけです。なのに介護職の地位は低く賃金も安い。私も体験しましたが、あのようなハードワークはとてもできません。仕事に見合った賃金を出すために、行政はもっと介護職の内容をよく理解してほしいですね。そして、ご家族にも介護士さんの仕事がどんなに大変か、しっかり知ってもらいたいと思います。
(聞き手/程原ケン)

家田荘子(いえだ しょうこ)
作家、高野山真言宗僧侶。日本大学芸術学部放送学科卒業。高野山大学大学院修士課程修了。女優、OLなど10以上の職歴を経て作家になる。

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