葉加瀬マイ 2018年11月29日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 アメリカさんよ、大丈夫か!? 『ダーティ・グランパ』

掲載日時 2017年01月13日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年1月19日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 アメリカさんよ、大丈夫か!? 『ダーティ・グランパ』

 チラシに「抱腹絶倒」と記載されている映画を見て、抱腹したためしなし。これはへそ曲がりの自分のジンクスのようなものです。しかし、“主演はロバート・デ・ニーロだしな…”と、やや期待値のハードルを上げて臨みました。

 日本人だって下ネタは好きですよ。しかし、アメリカとは下ネタの扱い方が違い過ぎました。トランプ次期大統領が「メーク・アメリカ・グレイト アゲイン」を謳ってますが、これがグレイトなアメリカの真の姿なのか…。アメリカさん、ついに開きなおったのか、恥部をさらけ出しています。
 この映画を見ていますと、大統領選挙の勝敗の鍵を握っていたフロリダ州は、まるで今でも薬とフリーセックスにまみれたパーティーが夜な夜な開催されているかのよう。全米の学生が集結するデイトナビーチとやらに行くと、ラリった人だらけで、弁護士を目指す真面目な若者も、一瞬で飲み込まれて全裸で踊り出すほど開放されちゃうのかと、そんな疑問で頭がいっぱいになりました。
 名優ロバート・デ・ニーロも「妻に先立たれて、残りの人生を満喫しようとするエロオヤジ」を嬉々として演じています。ただ、そうはいっても屈折した事情を抱えているとか、親子断絶を修復する人生訓があるとか、ちょっとイイ話が隠されているのかなと思って見ていたら、最後までどんちゃん騒ぎ。まかり間違って、これがデ・ニーロの遺作になったら、どうするのでしょう。「世界の警察なんて、もうやってられない」とトランプは言いますが、この国に任せていていいのかと、こちらの方が不安になるほどです。

 …と、ここまでさんざん書いてきましたが、自分の心の奥を覗きますと、「老年期、かくありたし」という思いと、うらやましさがフツフツとこみ上げてきます。
 「好きなように生きてほしい」という亡き妻の遺言を都合のいいように受け止め、親子並みに年齢が離れた美女をナンパして、デートにこぎつけようと画策しますが、なんと若い彼女の方もまんざらでもない様子です。
 たまに聞きますよね、「ジジイ専」。ラサール石井さんの奥さまとか。でも、実際にはお目に掛かったことがない。
 自分にいたっては、健康診断で飲酒のドクターストップがかかっている身。酒もたばこも、もちろん恋愛に溺れることもなく、今後二度と、我を忘れるような高揚感を味わうことのない人生です。いったい何が楽しいのか、分からなくなりました。

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■『ダーティ・グランパ』監督:ダン・メイザー 出演/ロバート・デ・ニーロ、ザック・エフロン、オーブリー・プラザ、ゾーイ・ドゥイッチ、ジュリアン・ハフ、ダーモット・マローニー 配給/REGENTS、日活 1月6日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー。
 1週間後に結婚を控えた真面目過ぎる弁護士のジェイソンは、祖母の訃報を受けて葬儀に駆けつける。そこで彼は意気消沈した祖父ディックから強引に誘われ、祖母の思い出の地であるフロリダへ傷心旅行に出掛けることに。ところが、ディックは40年ぶりの独身生活で自由を満喫。朝から酒を飲んだり、葉巻を吹かしたり、さらにはゴルフ場で若い子をナンパしたり。挙げ句の果てにはデイトナビーチで大暴れしてしまい…。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

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