RaMu 2018年12月27日号

放置するほど危険度が高まる!? 「糖尿病」は“予備軍”から対策を

掲載日時 2018年11月29日 23時00分 [健康] / 掲載号 2018年12月6日号

放置するほど危険度が高まる!? 「糖尿病」は“予備軍”から対策を
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 厚生労働省が行う「国民健康・栄養調査」などによると、「糖尿病が強く疑われる人」は’97年に約690万人だったが、その後増え続け、’16年には約1000万人に上った。’17年の調査結果では、70歳以上の男性の4人に1人(25・7%)、同女性の5人に1人(19・8%)がこの部類に属する。

 高齢化がさらに進み、機械とAIが発達して人間が自力で動く必然性がより低くなると考えられる中、糖尿病の患者数もこれまでと同様に増え続けることが予想される。

 糖尿病は、血液中のブドウ糖が内臓や筋肉に取り込まれるのを助けるホルモン「インスリン」が、すい臓から分泌されづらくなったり、十分に出てはいるものの肥満のため機能しづらくなったりして血中糖度が高くなる病気。子どもや若い人に起こりやすい原因不明の1型と、中高年に起こりやすく遺伝や運動不足、肥満、ストレスが起因する2型、すい臓などの病気や治療薬の影響によって起こるものがある。日本の糖尿病患者の95%は2型だと言われる。

 この糖尿病について医師からは「症状がないから注意」と聞くが、一方で医療機関のホームページなどを見ると「口が乾く」「多尿」「体重減少」などの症状も挙がっている。

「症状が現れるのは病気が非常に進行した場合で、現れない患者さんのほうが多いのです」

 こう話すのは、順天堂大学医学部の元准教授で、糖尿病の患者を24年にわたって診てきた『しみず内科クリニック』(東京都大田区)の清水友章院長。

 清水院長によると、糖尿病が発症した時点で、すい臓がインスリンを分泌する能力は半減しており、症状が現れるまで進むと、この能力は限りなく低くなっているという。

★発症する前から合併症リスク増
 糖尿病のもう1つの特徴は、合併症のリスクが高いことだ。血中のブドウ糖の量が多い状態が続くと、血管が傷ついたり、詰まったりして血流が悪くなり、血管に連なる臓器に障害が起きてしまうため。

 体の中の太い血管が傷つけられると、動脈硬化が進んで死亡する恐れがある心筋梗塞や脳梗塞などが、また、細い血管が傷つけられると、失明原因になり得る糖尿病網膜症や腎臓病、神経障害が起こりやすくなる。

 この神経障害により足の感覚が鈍くなると、ケガに気付きづらくなり、最悪の場合は患部が潰瘍になって脚の切断を余儀なくされることもある。

「糖尿病の人は、健常者に比べて脳梗塞や心筋梗塞になる可能性が2〜3倍高いと言われています。加えて注意したいのは、糖尿病と診断されなくても血糖が正常値より高い糖尿病予備軍(境界型)の段階から、太い血管での合併症が起こりやすくなることです。糖尿病になった時点でインスリンの分泌能力は半減していますから、その前の予備軍の頃からすでに体には変化が起こっており、インスリンの分泌量が減ったり、効きが悪くなったりしているのです。糖尿病予備軍の中で心臓の病気で亡くなる人は健常者の2倍に及ぶと言われています」(清水院長)

 糖尿病になる前から血糖値が高ければ、食生活の改善や定期的な運動といった対策を打つことが必要になるわけだ。では、糖尿病予備軍はどう判別できるのか。

 糖尿病の診断基準は(1)空腹時血糖値、(2)状況によらない随時血糖値、(3)ブドウ糖75グラムが入った水を飲んだ2時間後の血糖値(75グラム経口ブドウ糖負荷試験)、(4)過去1〜2カ月間の血糖割合の平均を示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の4つの値が関わる。

 (1)が126(ミリグラム/デシリットル)以上または(2)が200以上または(3)が200以上であり、(4)が6.5%以上の場合に「糖尿病」と診断される。

 一方、(4)が6.5%未満でも、(1)が110〜125または(3)が140〜199であれば糖尿病予備軍に該当する。健康診断で示される血糖値は空腹時血糖値であるため、医療機関でHbA1cを調べたりブドウ糖負荷試験を行ったりすることで予備軍か病気に罹患しているかが分かる。

 糖尿病予備軍の人が気をつけたい食事や運動のポイントは、糖尿病の治療と共通する。清水院長によれば、1回の食事量を増えがちな欠食を避けて1日3回、規則正しく食べ、それぞれを腹8分目に抑える。糖質だけに着目するのではなく、総カロリーを落とすことを意識する。運動については継続しやすいよう、日常での移動に変化を加えることが重要。通勤時に駅の階段を上り下りしたり、駅やバスの停留所をいつもより一つ前で降りて歩く距離を伸ばしたり、1日1万歩を目標に、万歩計やスマートフォンのアプリで歩数を管理することを勧めている。

 仮に糖尿病に罹患したとしても、食事と運動に気を配りつつ薬物療法を適切に組み合わせれば、血糖を調整することができる。

「糖尿病になるとずっと同じ治療を続けないといけないと思っている方がいますが、実際はダイナミックに改善する病気でもあります。例えば、治療開始当初にインスリンを直接投与する注射が必要だった方が、服薬で済むようになったり、また薬を飲まないといけなかった人でもその量を減らしたりすることが可能です。その一方で、糖尿病は完治が難しいと考えられており、医師や管理栄養士のアドバイスを基に生活習慣を改善しつつ、治療を継続していくことがとても重要です」(清水院長)

 最後に、そもそも血糖値が正常でも安心はできない点に言及したい。

 糖尿病の合併症である心筋梗塞や脳梗塞の原因は、動脈硬化が進むことにあり、動脈硬化は血糖の増加だけでなく、高血圧だったり、中性脂肪や尿酸の量が多かったりすることで進みやすくなる。血糖コントロールに留まらず、動脈硬化の進み具合を把握して、血液の流れをスムーズに保つことが大切なのだ。

 動脈硬化が進んでいるかどうかは頸動脈超音波(エコー)検査を受けることで調べられる。これは首に超音波を照射してその反射を画像化するもの。首の太い血管である頸動脈の状態は全身における動脈硬化の指標になるため、心筋梗塞や脳梗塞になる可能性をある程度予測できる。

 検査時間は15分ほどで、生活習慣病の患者や何らかの症状を訴えている人は健康保険が適用される。3割負担で約1600円。健康管理を目的にした人でも自費で受けられるので、お勧めしたい。

関連タグ:目からウロコの健康術


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