九州豪雨災害の盲点…コロナ感染を恐れた高齢者が避難所への移動を躊躇!?

社会・2020/07/09 23:00 / 掲載号 2020年7月23日号
九州豪雨災害の盲点…コロナ感染を恐れた高齢者が避難所への移動を躊躇!?

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 九州付近に梅雨前線が停滞。熊本、鹿児島両県に7月4日から“線状降水帯”がかかり、記録的な豪雨に見舞われた。

 熊本県南部では球磨川が氾濫。人吉市や八代市、球磨村などで冠水や土砂崩れが相次いだ。9日正午現在、これまでに熊本県を中心に62人が死亡し、1人が心肺停止、17人が行方不明となっており、家族や知人と連絡が取れないという届け出も多いという。

「球磨川の氾濫は予想以上に激しく、流域にある球磨村の特別養護老人ホーム『千寿園』では、あふれた川の水が建物内に流れ込み、1階部分はほぼ水没。入所者などの高齢者50人とスタッフが取り残され、14人が死亡しました。この施設では、年に2回も大雨を想定した訓練を行っていたそうです。高齢者を2階に逃がすなどの訓練を何度もしていたのに、今回の豪雨による浸水は想定外のスピードだったということでしょう」(地元記者)

 水没した球磨川周辺は深いところで最大9メートル、球磨川に接する人吉市のJR人吉駅近くの市街地でも3〜5メートルも水没。津奈木町では山肌が頂上付近から崩れ、住宅をのみ込んだ。

 防災ジャーナリストの渡辺実氏が言う。

「気象庁の警報の出し方も、一度考えた方がいい。明け方に携帯を通じて特別警報を出しても、誰も見ないと思いますよ。避難民にしてみれば、『そういえば携帯がずっと鳴って、うるさかったな』程度の認識しかないでしょう」

 今回はコロナを恐れて、高齢者などの避難が遅れたのではないか、との見方もあるが…。

「マスコミは、そうやってすぐにコロナを前面に出してしまう。そういう報道があるから、一般人も3密を恐れて避難所に入ることを躊躇してしまいがちです。しかし、球磨川ほどの大きな川が氾濫し、身の危険が迫っているような状況では、まず洪水から命を守る行動を最優先に取るべきですよ。そして、余裕が出てきた段階でコロナ対策を考えるべきです」(同)

 今回、八代市の総合体育館などでは、通常の避難所より広い間隔を空けた上に、世帯ごとにパーテーションも設置するなど、コロナ対策もしっかりと考えられていた。

「それでも、高齢者からしたら避難所はやっぱり怖い。できれば家でやり過ごしたいって気持ちが強くて、避難所に行くのをためらうよね」(地元の高齢男性)

 ウイズコロナ時代の避難に対するガイドラインが必要だ。

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