葉月あや 2019年5月2日号

森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 古賀氏の「自爆テロ」が意味するもの

掲載日時 2015年04月15日 14時00分 [政治] / 掲載号 2015年4月23日号

 3月27日のテレビ朝日『報道ステーション』で、コメンテーターとして出演していた古賀茂明氏が、言論による「自爆テロ」を行った。司会の古舘伊知郎氏がイエメン情勢を伝えるVTRの後で、古賀氏にコメントを求めたときに事件は起きた。
 古賀氏が次のように答えたのだ。
 「私、今日が最後ということで、テレビ朝日の早河会長とか、あるいは古舘プロダクションの佐藤会長のご意向で、私はこれが最後ということなんです。これまで非常に多くの方から激励を受けました一方で、菅官房長官をはじめ、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきましたけれども、それを上回る皆さんの応援のおかげで、非常に楽しくやらせていただいたということで、心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました」

 古舘氏はすぐに反論した。
 「古賀さん、ちょっと待って下さい。いまのお話は、私としては承服できません。古賀さんは金曜日に、時折出て下さって、大変わたしも勉強させていただいている流れの中で、番組が4月から様相が変わっていく中でも、古賀さんに機会があれば、企画が合うなら出ていただきたいと相変わらず思っています」

 古賀氏は、官邸からの圧力で自分が『報道ステーション』から追放されたことを遠回しながら強く示唆したのだ。古賀氏の突然の不規則発言で、生放送の番組は大混乱に陥ってしまった。
 私はその日、『朝まで生テレビ』に出演するためにテレビ朝日にいた。午前0時半ころ、放送を終えた古舘氏の楽屋前は、『報道ステーション』のスタッフが大勢集まり、騒然となっていた。私がスタッフに聞くと、古賀氏が降板させられたという認識はまったく持っていなかった。もともと古賀氏は準レギュラーであり、必要なときには、引き続き出てもらうということになっていたというのだ。古舘氏の認識と同じだ。
 ただ、私は古賀氏が経済産業省に勤めていた時代から、かれこれ20年ほど交流がある。頭脳明晰で、とても真面目な古賀氏は、ウソをつくような人物ではない。だから、もし古賀氏の言うことが真実なら、上層部と官邸の間で古賀氏追放が決められたということになる。そうなると、私のレベルでは、事実を確認することができない。だから私は、楽屋での録音をぜひ公開して欲しいと思う。

 もし、古賀氏が官邸の圧力で彼が降板させられたのだとしたら大変な問題だ。私は、戦後の日本で一番素晴らしかったことは、自由にものを言える社会だったということだと思う。それがなくなるということは、日本社会が根底から変わってしまうことを意味する。
 日本国憲法21条には、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と書かれている。言論弾圧が起きていれば、憲法違反なのだ。私が一番気になっているのは、前代未聞の“放送事故”が起きたにもかかわらず、大手マスメディアが徹底追及する姿勢を見せていないということだ。
 古賀氏をそっと「自然消滅」させてしまおうという意思がマスメディアにあるのだとしたら、それこそマスメディアの自殺行為だと私は思う。

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