葉加瀬マイ 2018年11月29日号

膵臓がん発症で5年生存率10〜20% 放置厳禁! 激痛も襲う膵炎の脅威(1)

掲載日時 2016年01月16日 10時00分 [健康] / 掲載号 2016年1月21日号

 膵臓は、胃の後ろ側の背中に近い場所に位置し、外分泌機能と内分泌機能の役割がある。外分泌機能では、膵臓から腸に膵液(消化酵素=たんぱく質、脂質、糖質を消化する酵素)を分泌し、食物の消化、栄養分吸収の補助をする。一方、内分泌機能は、膵臓から血管内にインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌して、血液中の糖分の調節を行う。
 「ところが、アルコール過多になると急性膵炎を引き起こし、膵臓内で膵液が急激に活性化、膵臓が自分で自分を消化し始めてしまうのです。また慢性膵炎では持続的に炎症が起こり、膵臓の細胞が破壊され徐々に硬くなってしまいます」
 とは、「東邦大学医療センター大森病院消化器センター内科」胆膵疾患の外来担当医だ。

 男性の場合、膵炎の原因は酒の飲み過ぎが最も多く、急性膵炎の約半数、慢性膵炎の約80%を占め、3〜15%の確率で急性から慢性へ移行するという。
 「アルコールの次に膵炎の原因として多いのが胆石。肝臓でつくられる胆汁の通り道にできる胆石が、胆管の中を移動し、膵液の出口を塞ぐと急性膵炎が起こります。しかし、何と言っても注意が必要なのはアルコールの摂り過ぎ。アルコールそのものが体内で分解される際に発生する物質が、膵臓の細胞を直接傷めつける可能性があるからです」
 太り気味の人で、脂っぽいものをツマミに大酒を飲む中高年は要注意だ。

 急性膵炎の主な症状は、みぞおちから背中に抜ける、経験したことがないような激しい痛み。特に背中側にかけての痛みは尋常ではなく脂汗が出るほどで、身体を丸めないと耐えられない。ひどい時は、小腸や十二脂腸が麻痺して動かなくなるため吐き気を伴うが、吐いても吐いても痛みが軽くなることはない。
 「突然の激痛に動けず、救急車を呼ばなければならないことも多い。重症化すると、ICU(集中治療室)での治療が必要になり、最悪の場合は、そこで亡くなる時もあります。重症化するかどうかは、膵臓の炎症部によって左右され、痛みの程度には関係ありません」(担当医)

 ただし、アルコールに注意と言っても、普通の飲み方をしていれば膵炎にはならない。
 「一度に半端ではないほどの大酒を飲むと、アルコールの刺激で膵液が一気に過剰分泌され流れが悪くなる。それが危険なのです。また、そもそも膵液が脂肪を分解する消化酵素のため、下戸であっても脂肪分の多い洋菓子好きなどは注意が必要。加えて若年層であっても、ファストフードの食べ過ぎは、発症の要因となります」(同)

 急性膵炎と同じく、慢性膵炎でも上腹部や背中を中心に痛みに襲われるケースが多い。しかし痛みの程度は、激痛というよりも“重苦しい感じ・鈍痛”が多いという。
 「そんな痛みが出たり軽くなったりを10年程度繰り返し、やがて痛みが起こらなくなります。ただし、そうした現象は決して治ったからではなく、膵臓の細胞が壊れすぎて痛みを感じなくなってしまった状態を意味します。その頃になると体重が落ちたり、膵臓が働ないためにインスリンが分泌されなくなり、糖尿病まで発症するようになります」(健康ライター)

 「東京社会医療センター」主任の片岡順二氏は、その恐ろしさをこう語る。
 「最新データでは、急性膵炎の死亡率は2.6%で、重症急性膵炎になると10.1%まで上昇します。慢性膵炎の場合、すぐ死に至ることはありませんが、安心はできない。がんの中でも予後が非常に悪い膵臓がんのリスクが、健康な人に比べて10〜20倍も高まるからです。しかも、定期的にチェックしていても、もともと膵臓の状態が悪いので早期発見が困難。進行がんになると、大抵の場合は打つ手がないのが実情です」

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