林ゆめ 2018年12月6日号

北朝鮮体制崩壊 金正恩を取り巻く3人の女性最高幹部

掲載日時 2017年10月25日 10時00分 [社会] / 掲載号 2017年11月2日号

 北朝鮮政府機関紙『民主朝鮮』が10月15日、「米国が軍事的挑発を選択すれば米全土はわれわれの核報復で焦土になる」と威嚇した。ところが、同月7日に開かれた朝鮮労働党中央委員会第7期第2回全員会議(総会)の人事を見る限り、北朝鮮には米国との戦争というシナリオが感じられない。しかも韓国のメディアは、来年2月に開催される平昌冬季五輪に北朝鮮が参加の意向と報じている。北朝鮮は硬軟織り交ぜ、日米韓を翻弄しているのか。
 「金正恩党委員長は『核武力建設』に目途を付けたので、もう一つの『経済建設』にまい進できる体制固めを行うと同時に、核保有国認定を勝ち取るための外交を展開できる布陣にしたのでしょう。そのため、正恩委員長の実妹である“北のプリンセス”金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会宣伝扇動部副部長を政治局員候補に抜擢したのです。30歳になったばかりの若い女性が、政治局常務委員5人、その他の政治局員十数人に続く局員候補になったのは異例中の異例です。それだけ身辺に疑心暗鬼が生じていることの裏返しでしょう」(北朝鮮ウオッチャー)

 北朝鮮は徹底した男尊女卑社会である。政治局入りを果たした女性は、故・金正日総書記によって強大な権限を与えられた実妹、金慶喜(ギョンヒ)氏に次いで2人目だ。慶喜氏の場合は入党後30年以上を経た2012年に政治局入りしており、与正副部長は前例のない早さで出世しているところが大きく違う。
 「北朝鮮国営メディアが'15年1月に配信した写真には、保育所を訪問した与正の薬指に指輪がはめられている様子が映し出されていました。韓国の情報当局者らによると、与正は金日成総合大学時代の同級生と結婚した可能性が指摘されていますが、本当に結婚しているとすれば、夫は粛正された“第2の張成沢”という位置付けになりますね」(同)

 北のプリンセスは米国から見れば“指名手配犯”だ。米財務省は1月、人権侵害や弾圧を理由に、与正氏を含む7人の高官を制裁対象に加えたと発表している。
 「韓国情報機関は昨年、与正について、宣伝扇動部の幹部を“些細なミス”を理由に処罰し、権力を乱用していると指摘しています。血は争えません」(大手紙元ソウル支局長)

 そしてもう1人、今回の総会で、一時、粛清報道もあった正恩委員長の“元カノ”と伝えられたこともある玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏が、党中央委員会委員候補に抜擢された。同職はすでに中央委員会委員である与正副部長より格下に当たるが、大抜擢であるのは間違いない。
 「彼女は現在『ポチョンボ電子楽団』の後継グループで、正恩委員長の肝いりで創設された『モランボン楽団』の総監督を務めています。正恩委員長の妻である李雪主(リ・ソルチュ)も『銀河水管弦楽団』の歌手でしたから、楽団こそ違いますが、“歌姫”という立場は同じです。それで当時、李雪主が嫉妬から夫である正恩に、玄松月処刑を依頼したのではないか、と勘繰られたのです」(北朝鮮に詳しいジャーナリスト)

 正恩委員長、実兄の正哲氏、妹の与正氏の3兄妹は、殺された異母兄・正男氏と違い日本の大阪にルーツを持つ北朝鮮では異色の存在だ。他に頼るべき側近もいないことが、今回のサプライズ人事の背景にある。
 「正恩、与正兄妹は1990年代後半、スイスの首都ベルンで一緒に暮らし、現地の公立校に通っています。父親の金正日総書記が'01年にロシアを訪問した際、プリコフスキー元極東連邦管区大統領全権代表に対し『2人は正男、正哲と違い政治に強い関心を持っている』と証言しているくらいですから、与正が政治に向いていることは確かです。しかも、正恩体制を脅かす心配がありません」(国際ジャーナリスト)

 だが、正恩委員長には、消した正男氏以上に、今でも身内に“正統な血筋”が存在している。金正日総書記の唯一の“正妻”金英淑(ヨンスク)氏の長女・金雪松(ソルソン)氏だ。
 「正恩の異母姉に当たる雪松は体調のすぐれない正日総書記に長く付き添い、秘書として政府や軍の実務をすべて担ってきたので、正恩体制発足後は、彼女なしには実務が回りませんでした。北朝鮮流思考で言えば、正恩よりも雪松の方が『白頭山血統』が濃い。加えて中露仏語など5カ国語を操るという才媛で、韓国軍関係者は『先軍革命小組』という核ミサイルなどの管理を行う組織の事務方トップを務めていると指摘したこともあります」(同)

 与正氏が北朝鮮の最高意思決定機関に正式に加入したことは、政権内での彼女の役割が一段と拡大することを意味しており、雪松氏へのけん制ともとれる。
 今回の“与正人事”で、金ファミリーに亀裂が入るかもしれない。

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