岸田政権のこの1年で見えた能力の限界

政治・2022-10-05 18:13
岸田政権のこの1年で見えた能力の限界
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岸田政権発足から1年が経った。NNNと読売新聞が今月1日、2日に行った世論調査によると内閣支持率は45%で、政権発足以来最低となった。

そして「支持しない」は46%と、こちらは発足以来最高となり、「支持する」を初めて上回る数字となった。

岸田政権は、去年秋の衆院選、夏の参院選で勝利し、本来ならば盤石のはずなのに、不支持率が高くなった理由は何か?

衆院選後の12月~2月くらいまで、菅政権を悩まし続けた新型コロナは、オミクロンとなりそれほど国民が注目しなくなった。外国人の入国を原則停止したのも、それなりに評価されていたようで、支持率は60%前後と高かった。

ロシアによるウクライナ侵攻で物価が上がりだしたが、それでも支持率は下がらなかった。なぜかというと、特にこれといった政策を打ち出さなかったからだ。

つまり国民から【減点】されなかっただけだ。

それが、安倍元首相暗殺とそれに連なる統一教会と自民党の関係で激変する。統一教会と政治家の関係に対しても、態度がどうもハッキリしない。国葬義を即決したが、これは国民の思いを反映することにならなかった。国葬義で株を上げたのはむしろ菅前首相であった。

国葬義で発揮するはずの弔問外交は、まだ成功したのかそうでなかったのかはわからないが、国民にとってアピール度は高くなかったように思う。

円高・物価高に対する経済政策を発表するのはこれからだろうが、これまでの「新しい資本主義」というものが、どうもよくわからない以上、あまり期待できそうにない。「新しい資本主義」では「分厚い中間層を再構築する」ということらしい。

どうやらこれは「日本総中流の時代を今一度作る」ということらしいのだが、実現の方法は基本的に二つしかない。高度成長期のように給料が増え続け、経済成長のために国中の企業がブラック化するか、富の再分配をもっとちゃんとして、富裕層から中流下流に富を回すことだ。しかし岸田政権はどちらもやる気がないようだ。

1年前の首相就任時には「分配なくして次の成長はなし」と言っていたにも関わらず10月3日の所信表明演説では「分配」と言う言葉は使われなかった。

聞く力があると自称する岸田首相だが、この1年間における国会の答弁では「謙虚に受け止め、検討する」であった。謙虚に受け止めるのも検討もいいが、結局何もしない1年間であった。もしかしたら、これが岸田首相の能力の限界なのかもしれない。

コロナ禍、ウクライナ戦争、円安、物価高、北朝鮮のミサイル発射など難題続出のいまだが、この1年の岸田政権を観ていると、どうにも期待できそうにない。そしてこんなときに、岸田首相は31歳の長男を首相秘書官に起用とのこと。首相秘書官は、大臣クラスの権力を持つわけで、こんなときに世襲の準備をしている場合なのですかね?

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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