「排除の論理」は立憲民主党の伝統。泉代表は排除されるのか?

政治・2022-08-23 18:50
「排除の論理」は立憲民主党の伝統。泉代表は排除されるのか?
閉じる

「安部銃撃がもう一カ月か二カ月早かったらこんなことにならなかったのに」
と、ある立憲民主党支持者が言った。「こんなこと」とは、7月に行われた参院選惨敗であり、その後の立憲民主党内におけるゴタゴタだ。

先月末の立憲大敗の「反省会」で、蓮舫氏が泉代表に向かって「あなた、街頭演説で100人聴衆が集まったことがあるんですか⁉」と詰め寄ったことが報道されている。蓮舫氏は前回の参院選では117万票を集めダントツのトップ当選だった。しかし今回は4位で67万票と、当選はしたものの、人気の凋落は明らかだ。

その蓮舫氏が、党の代表に「あんたなんか街頭演説しても100人も人は集まらないでしょう」となじったのだ。蓮舫氏は「泉代表の指導力がないから、私や立民が苦戦し敗北したのだ」と言いたかったのかもしれない。

立憲民主党は参院選において前回に比べ、比例区では110万票以上も減らしている。立憲民主党という政党に対する期待感が急速に減っているのは、誰が見ても明らかだ。

蓮舫氏と親友の辻本清美氏は、今回の参院選で比例復活できた。このコンビがが「泉おろし」をたくらんでいるという噂もある。民主党の流れである立民の伝統からいうと「おろし」程度で済まないかもしれない。

03年、民主党に小沢一郎率いる自由党が入ることで、民主党は2大政党化でき、09年に鳩山由紀夫内閣誕生、悲願の政権交代を達成した。民主党が政権を取れた立役者は何といっても小沢氏と鳩山氏であったのだが、この2人を民主党は「排除の論理」で追い出してしまった。

「排除の論理」は、民主党結党当時、鳩山氏自身が、入党を希望している村山富市元総理の社民党勢や新党さきがけの武村正義らを拒否して生まれた言葉で、鳩山氏自身もこの「排除の論理」で追放されたわけだ。

民主党~立憲民主党は結党時から、イデオロギー的に合わない相手やライバルを排除し党から追い出すというDNAを持っているのかもしれない。おもしろいことに、立民結党の理由も、小池百合子氏の希望の党から「排除」された人たちが集まってできた党なのだ。

一方、自民党の派閥争いの場合、弱体化や分裂を狙ったりすることはあるが、ライバルを党から追い出すことはあまりない。自民党自身が弱くなってしまうからだ。

参院選惨敗後、泉代表は辞任を否定したが党内の不満はおさまっていない。いつ立民伝統の「排除の論理」が出てきてもおかしくない状態らしい。ただし、そうなったらますます立民は弱体化するのだが・・・

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

関連記事
関連タグ
政治新着記事