岸田総理は萩生田政調会長を切れるのか？

閉じる

安倍氏死亡後、自民党と統一教会の癒着が報道され、いま大問題になっている。特に萩生田光一政調会長は、かなり濃厚な付き合いがあったことが、徐々にわかってきた。萩生田氏は報道陣のインタビューに対して「統一教会の昭和の霊感商法などは承知していましたが、その後悪いうわさを聞くこともなかったですし・・・」と、歯切れ悪く、関係を認めたものの、ハッキリと関係を断つとは言っていない。

萩生田氏の統一教会との付き合いは長く、八王子市議であった1991年から続いていたらしい。その翌年の1992年には統一教会の合同結婚式に桜田淳子など有名人が参加することになり、この教団が霊感商法や家族を崩壊させる悪徳新興宗教として、マスコミが連日報道して大騒ぎになっていた。

当時は小学生でも知っていたこの騒動を、八王子市会議員であった萩生田氏が知らなかったはずはない。萩生田氏は、多数の被害者が出ていることを知っていて付き合い続けていたのだ。

萩生田氏は1991年から八王子市議を3期つとめたあと、2001年に東京都議に当選。2003年、衆議院議員初当選。2015年の第3次安倍内閣では安倍氏に引き立てられ官房副長官。2019年、第4次安倍内閣で文部科学大臣。2021年、第1次岸田内閣で経済産業大臣になる。第3次安倍内閣以降は、安倍氏の力で大臣になってきた人物だ。

そして2022年のいま自民党政調会長となり、いまや自民党最大派閥安部派の後継者候補、次期総理大臣候補の一人と、政界トップの1人と言っていい。

あるジャーナリストによると「亡くなった安倍さんが『自分の次は萩生田だ』と言っていた。それは岸田総理も知っている」という。それほど、萩生田氏は安倍氏に可愛がられていた人物なのだ。そして殺された安倍氏と統一教会票の関係が深まったのは第2次安倍内閣以降のことであり、それまではむしろ避ける傾向があったという。もしかしたらこのときから、統一教会と関係があった萩生田氏と安倍氏の距離が近くなったのかもしれない。

一方、岸田総理にとって、政界最大の敵であった安倍氏はいなくなったものの、最大派閥の安部派の勢力はそのまま残っている。それで安部派を慰撫するために、早々に国葬を決定し、安部派の何人かを内閣に入れバランスをとったはずだった。しかしその後も続々と安部派から統一教会と関係がある議員が出てきた。

特に萩生田氏は経済産業大臣から外されそうになると「私は骨格じゃなかったのか」と不満を言うので、党三役の政調会長に抜擢したのにこの有様である。

岸田総理にとって、統一教会と関係の深い安部派の閣僚を粛清し、宿敵である安部派に大打撃を与えるこれまでにないチャンスが来たのだ。その第一歩が安倍氏の最側近であった萩生田氏を更迭するか辞任に追い込むことだ。しかし決められないことで有名は岸田総理にそれができるのだろうか？　そうしないと国民もナットクしないと思うのだが。

プロフィール

巨椋修（おぐらおさむ）
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008～2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。