自民最大派閥の清和会(安部派)分裂を目論む宏池会岸田・麻生コンビ

政治・2022-08-22 18:21
自民最大派閥の清和会(安部派)分裂を目論む宏池会岸田・麻生コンビ
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「自民党というのは、党内にいくつかの政党がある」と、よく言われる。いわゆる自民党内の派閥のことだ。現在の最大派閥は清和会(安部派)であり96人いる。清和会は90年代末の森喜朗や小泉純一郎の時代からこれまで、自民党、ひいては日本の政界を支配してきたといえる。

その清和会に対抗するのが宏池会だ。宏池会には麻生派52人、岸田派43人、谷垣グループ8人だ。この宏池会はいまでこそ分裂しているものの、もしまとまることができれば、ライバルである清和会以上の最大派閥になることができる。

しかも現在、自民党総裁は岸田文雄、副総裁は麻生太郎、宏池会の2大領袖だ。これまでは清和会の安部晋三と麻生太郎が、清和会VS宏池会を調整してきたが、安部晋三はもういない。

さて最大派閥であった安部氏が凶弾に倒れ、清和会に跡目争いが起こっている。次期清和会のリーダー候補としては、萩生田光一政調会長や下村博文元文科相、西村康稔経産相などがいるが、どの人も巨大な安倍晋三の跡目を継げるほどの人はいない。

そこで宏池会の岸田氏と麻生氏が、今回の内閣改造で清和会を分裂に追い込む手を打った。実は清和会内部にはさらに二つの派閥がある。清和会初代会長の福田赳夫の流れのグループと、二代目会長の安部晋太郎の流れのグループだ。

いま清和会後継者の有力候補と言われる萩生田氏・下村氏・西村氏などはみんな安部系の人たちだ。しかし福田系には安倍晋三氏同様に「プリンス」と呼ばれる血統のいい議員が一人いる。

それが、福田達夫前総務会長だ。福田氏の父親、福田康夫氏は元首相、祖父の福田赳夫氏も元首相というお家柄である。

宏池会の岸田総理は、昨年10月に清和会福田系で、わずか当選3回の福田達夫氏を自民党総務会長に抜擢。そして今月18日に福田氏は筆頭副幹事長に起用。これらの人事で、清和会福田系プリンスの福田達夫氏が次期清和会の有力候補として、注目されることになった。

しかも、プリンス福田達夫氏は統一教会問題で「何が問題かよくわからない」という発言をして炎上したばかりだ。清和会安部系は「なんであんなボンクラのボンボンが」と反発はしている。

統一教会と関係が深いのは清和会の中でも安部系だ。特に清和会後継者候補の萩生田光一氏は連日統一教会との関係でマスコミに叩かれ、下村博文氏も、統一教会の名称を「世界平和統一家庭連合」に名称変更をした当時、その決定権を持っていた文科相でマスコミに叩かれている。これらのスキャンダルで、二人は清和会後継者争いに一歩も二歩も後れを取ることになった。

安部氏というまとめ役を失った清和会の後継者は、まとまるどころか分裂の恐れさえ出てきたのだ。

これから3年間国政選挙がない。自民党総裁選は2年後だ。
それまでに宏池会の岸田氏と麻生氏は、福田氏を重用することで、清和会の分裂もしくは弱体化させ、宏池会支配を盤石なものにするつもりらしい。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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