岸田総理の防衛増税に自民党内から批判続々のなぜ

政治・2022-12-13 18:20
岸田総理の防衛増税に自民党内から批判続々のなぜ
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10日、岸田文雄首相が、防衛力増強の財源として増税を行う考えを改めて示すとともに、国債を発行する可能性は「未来への責任としてあり得ない」と否定。

増税の内容はと言うと、「法人税」や「たばこ税」のほか、「復興特別税」も財源として検討されているという。

岸田首相とすれば、ロシアのウクライナ侵略で、戦争が身近に感じられ、いまなら防衛費を上げても国民は文句をいうまいという考えであったようだ。

しかし「まず増税ありき」の岸田案に、多くの国民は否定的であるようだ。
ほとんど説明がないこの増税案は国民の目から見ると「目的は増税、防衛は手段」に映ってしまう。

さらにこの防衛増税には自民党内部からも反対意見が多く出ている。

高市早苗経済安全保障担当相は12日

「どういう内容で国防力を強化しようとしているのかすら知らされていないので、先に財源論が出て戸惑った」
「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません」

これについて松野博一官房長官は12日午前の記者会見で
「歳出・歳入両面での財源確保の具体的内容を年末に一体的に決定することは、首相も述べている通りであり、その考えは閣内でも共有されている」と説明。

高市氏は「歳出部分に関しては聞いていない。少なくとも十分に共有されていない」と反論した。
と、この問題で内閣にヒビが入っているようだ。

萩生田政調会長は11日、防衛費倍増の原資について
「あらゆる選択肢を排除しない。例えば国債もだ」
「(増税という話を)統一地方選前に出すのは大きなマイナスだ」

西村康稔経産相も「増税は慎重にあるべき」

自民党の青山繁晴参院議員
「私は岸田総理の発言に真っ正面から反対して、防衛増税という考え方そのものに反対しました」

三原じゅん子参院議員
「防衛費43兆の中身の議論や国民への説明もなく、いきなり『増税』には私は反対」

どうやら岸田総理の防衛増税案に否定的なのは、安倍派や安倍元首相と近かった人たちのようだ。
防衛費の増額は、安倍元首相の悲願だったはず。
ではなぜ安倍氏に近い人たちが否定的なのか?

安倍元首相の考えでは、増税による増額ではなく、国債による増額であった。
増税だと国民が反対するのは目に見えている。

しかし国債は財務省が大反対である。
岸田首相は、折衷案として財務省の顔を立て、いまなら国民も安倍派の議員も賛成してくれるだろうと思ったらしいが、思惑通りにはいかなかったようだ。

ただ、岸田首相は「防衛費の安定財源として国債ではなく税収で」というが、安定財源という意味では国債の方が安定している。

「復興特別所得税」を防衛増税に回すというのも、国民にとって理解しがたい。
どうも岸田さんの考えは、国民と解離しているようだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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