広島選挙区の自民敗北が意味しているものは?(後編)

政治・2021-04-28 18:56
広島選挙区の自民敗北が意味しているものは?(後編)
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広島での補選で自民党地元県連がとった作戦。それは菅義偉首相や二階幹事長を【応援に来させない】というものであった。

2019年7月の参院選では、河合杏里氏の応援に当時の安倍首相も菅官房長官、二階幹事長も、応援演説に来ている。おまけに選挙資金1億5千万円。
同じ自民党で出馬する自民党県連推薦の溝手顕正氏にはわずかに1千5百万円。味方は県連の仲間たちと岸田文雄氏のみ。岸田氏にしてみれば、県連と党本部の板挟みである。

結果は河合杏里氏が勝利したが、地元の自民党支持者としてはおもしろくなかったことであろう。

そこへきて河合夫妻のワイロ問題である。地元の人にしてみれば「広島をメチャメチャにしやがって」という思いがある。

その地元自民党を踏みにじったのが、現在総理大臣になった菅首相であり、二階幹事長なのだ。「この二人が応援に来たら、また広島自民党のイメージが悪くなる」と、地元支持者は考えたのかもしれない。

自民・公明が推薦する西田英範氏の選挙作戦は、菅義偉首相や二階幹事長を応援に呼ばず、「敵は党本部にあり!」と身内批判をすることで、この選挙を勝ち抜こうとしたが届かなかった。

今回の参院広島選挙では、無党派層のみならず、自民党支持層もかなりの人が野党に入れたようだ。読売新聞の出口調査によると、無党派層の薬7割超が、野党候補の宮口治子氏に入れている。そして自民党支持者のうち2割超が自民・公明推薦の西田英範氏ではなく野党側の宮口氏に投票しているのだ。

保守王国広島における自民敗北が意味するもの、それは次の衆院選における苦戦である。自民党は議席を30落とすか50落とすか……

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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