選挙で国は変わるのか? 日本の未来を決めるのは政治家ではなく有権者である

政治・2022-07-06 18:47
選挙で国は変わるのか? 日本の未来を決めるのは政治家ではなく有権者である
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さて参院選投開票日が近づいてきた。今回の目玉政策としては、主に「経済政策」・「憲法改正」であろう。これについて少し述べてみたい。

まず「経済政策」だが、いま物価が急上昇しており円安も進んでいる状態だ。この問題に対して、与野党はどういっているかというと

・与党:「賃上げしまっせ」
・野党:「消費税下げまっせ」

と、二つにキッパリと別れている。さてさてこれらは実現可能なのか?

野党の「消費税を下げまっせ」が実現した場合、どうなるのか? 現在消費税は、社会保障政策の財源費用として使われている。

6月19日、NHKの『日曜討論』という番組で、茂木自民党幹事長が

「消費税の税収は21.6兆円ですから、仮に5%引き下げたとすると、10.8兆円の税収が減ることになります。6%だと、13兆円の減収です」

と語り「そうなると年金を3割カットしなくてはならない」と言って炎上。年金3割カットはともかく、現実に5%を消費減税したら、この10.8兆円を何とかしなければならない。これをどこから持ってくるのか?

野党の意見は、大企業や富裕層への増税だがそれは可能なのか? そもそも与党が減税を決定したのなら実現可能かもしれないが、野党が言ったところで実現の可能性は限りなくゼロに近い。

与党の「賃上げしまっせ」も、結局企業へお願いするレベルでしかできないので、実現可能かどうかはわからない。

では憲法改正はどうか? これは改正したい議員が衆議院と参議院の3分の2集まれば実現可能。衆議院ではすでに改正したい与党が3分の2を取っているので、今回の参院選で与党が躍進し、賛成派が3分の2を取れば、実現に近づくことになる。

もっとも憲法改正には、衆参議員の3分の2以上の賛成後、国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成が必要となるので、今回の参院選で決まるというものではない。

しかし消費減税や賃上げよりも、リアルなのが今回の憲法改正だ。

憲法改正は憲法9条問題が論点になる。憲法改正派がやりたいのは「憲法に自衛隊を明記」と「緊急事態の対応強化」の二つだ。もし憲法に自衛隊が明記されるとどうなるか?

例えば米中戦争が起こった場合、これまでだと【日本に軍隊は存在しない】ことになっていたので、後方支援程度ですんでいたが、そうはいかなくなる。

もう一つの「緊急事態の対応強化」は、テロなどの緊急事態が起こったとき、一時的に内閣に権力を集中させ、即時対応ができるようにするというものだ。これも一見もっともなことだが、そのときの内閣総理大臣がおかしな人だったら、国民に銃を向けかねない。

一方、戦争にかかわることは、一切まかりならんと主張する人が護憲派ということになる。

日本の場合、強いリーダーがグイグイと引っ張っていくという政治システムではないので、あなたの一票には影響がないと思うかも知れない。しかし思い出してほしい。かつて旧民主党が政権交代をしたとき、少し国は変わったのだ。そしてその次の安倍内閣時代も、少し国は変わった。いいか悪いかは別にして・・・

そして、日本の未来を決めるのは政治家ではなく有権者だということを忘れないでほしい。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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