拡大自殺とモテない男の凶悪犯罪

社会・2021-11-21 13:35

「幸せそうな女性を殺してやりたい」「女性なら誰でもよかった」と小田急刺傷事件の容疑者は語った。その事件を模倣した京王線ジョーカー男は、彼女にフラれたのが犯行の原因とされている。宮城県登米市の幼稚園に園児を殺して、死刑になろうとした男も典型的な非モテ男であったそうな。

よく「犯罪の影に女あり」というが、彼らの場合「女に相手にされなかったから犯行を行った」人たちと言えそうだ。

ときどき「自分では死ねないから、死刑にしてほしい」という凶悪犯罪者がいる。このように他人を巻き込んでの自殺は、拡大自殺と言われ、これが銃の携帯が比較的自由な欧米では、より悲惨な結果になる。

今年の夏、英国では「社会的に孤立し、交際相手の女性を見つけるのに苦労している」とSNSに発信していた22歳の男性が、銃乱射事件を起こし、3つの現場で2人を殺害、2人を負傷させて自殺した。

14年、米カリフォルニア州で22歳の童貞男は「自分は社会と女性からの犠牲者だ」と称し、銃や刃物で6人を殺し14人を負傷させたあとに自殺。

15年、米オレゴン州では、26歳の「友達も彼女も仕事もない童貞だ」という男が、大学で銃を乱射。9人を射殺したあと自殺。

18年、カナダでは女性に性的・社会的復讐として、車で10人をはねて殺害、16人を負傷。

ではなぜ非モテはこのような犯罪を行ってしまうのか? すべてではないが、多くの場合、もっとも身近な女性である母親と関係が悪い。秋葉原通り魔事件の犯人は、母親から虐待としか思えない厳しい躾を受けていた。そして自分を認めてくれなかった母親という女性や社会に歪んだ憎悪を抱き暴発した。

いつの時代でも、モテる男は少数派だ。だからといって、みんなが凶悪犯罪を行うわけではない。彼らの場合、さらに孤独と絶望が拍車をかけた。人間の雄は女性や社会に認めてもらうために頑張るが、それが絶望にかわるとき、拡大自殺という凶行に及ぶのかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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