同性婚で「社会が変わってしまう」と思っている岸田首相って

政治・2023-02-08 18:54
同性婚で「社会が変わってしまう」と思っている岸田首相って
閉じる

岸田文雄という人は時代の流れというものがよくわかっていないのではないだろうか?
2月1日の衆院予算委員会において、立憲民主党の西村智奈美代表代行から、同性婚の法制化を求める質問に対し

「すべての国民にとっても、家族観や価値観や、社会が変わってしまう課題であります」
と答えた。

このとき岸田首相の「家族観」とはどのようなものなのであろうかとふと疑問に感じた。
「家族」というもっとも小さな共同体は、実に様々であり、ひとり親家庭もあれば、アニメ「サザエさん」のように三世代同居というところもある。

「サザエさん」のエンディング曲で「うちと同じね 仲良しね 私もサザエさん あなたもサザエさん」という歌があるが、むしろ「サザエさん」のような家庭は少数派なのかもしれない。

さらにひとり親家庭は、学校のクラスが40人だとすると、40人中5人の子どもがひとり親家庭なのだ。

さて今回、岸田首相の秘書官が、記者団に同性婚に対して
「見るのも嫌だ。隣に住んでいるのも嫌だ。同性婚を認めたら日本を捨てる人もでてくると思う」
と語りさらに、「秘書官室もみんな(同性婚について)反対している」とまで語っている。

後に撤回し、即座に更迭もされたが、もしかしたら岸田首相やその秘書たち、自民党の重鎮たちも、そういった考えなのではないかと連想してしまう。

この更迭された秘書官は、岸田首相の優秀なスピーチライターでもあったという。つまり岸田首相の考えをもっともよく知っている人の1人なのだ。

さてさて、岸田首相とこの秘書官の発言で、自民党内は一転、LGBT法案を前向きに検討していくという。
岸田文雄首相も8日の衆院予算委員会で、議論を見守り政府として対応を検討する必要があるとの認識を示した。

しかしだ。どうもその理由というのが、本年5月にG7 サミットが広島で行われるのだが、G7で同性婚が認められていないのは日本だけであり、そのため今回の件で海外から批判的な報道をされたからではないかと言われている。

どうやら世界から「日本はまだそんな考えなのか」とツッコミを入れられたくないため、サミットまでにLGBT法案を成立させたいらしい。

それはそれで情けないような気もする。
今回の発言が話題にならなければ、岸田首相はこの法案を通すつもりなどなかったと思われるからだ。
だから「家族観や価値観、社会が変わってしまう」という発言をして先送りにしたかったのだろう。
ところが海外からの批判や、世間の風当たりが思いのほか強くコロリと態度を変えた。たぶんこの首相はLGBTの人のことなんてどうでもいいんなろうなという印象だ。

岸田首相は自分の秘書官の失言に対し「不快な思いをさせてしまった方々にお詫び申し上げる」と頭を下げたが、この謝罪もひどく軽く感じた人は少なくないはずだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

関連記事
関連タグ
政治新着記事