「おぐらが斬る!」ジャニー喜多川の少年愛は日本の伝統? 芸能の世界と同性愛

エンタメ・2023-05-25 10:03
「おぐらが斬る!」ジャニー喜多川の少年愛は日本の伝統? 芸能の世界と同性愛
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ジャニー喜多川氏の性加害は、生きていれば強制性交等罪(強姦罪)などに問われるものだが、歴史によると人類の男性が少年を愛するという行為は古代ギリシャ以前からあったようだ。

そして、日本における芸能の世界では、古くから同性愛を受け入れる俎上があったと言えばどう思われるだろうか。

日本はキリスト教世界やイスラム教世界と違い、同性愛が禁止されていなかったので、同性愛は特別なものではなかった。織田信長と蘭丸のように武士の世界では当たり前のことであったし、僧侶と稚児の関係は周知のことであった。

歌舞伎の世界では、舞台子(ぶたいこ)と呼ばれる舞台に立つ前の10歳から17歳くらいの少年が、陰間茶屋で体を売ってアルバイトをした。陰間茶屋というのは、男娼専門の売春宿のことで男だけではなく女の客も来た。金額はかなり高額であったらしい。

10~17歳といえば、ジャニーズジュニアの子供たちの年齢と合致する。江戸時代の歌舞伎界では10代の少年が体を売ることは、生きるために必要なことであった。

後に名人と言われる初代中村仲三は、15歳のときにひいき筋の大商人にひかされて一度歌舞伎を辞めている。中村仲三はひいき筋の男妾になったのだ。

また客と男色関係になったとき、それに嫉妬した兄弟子数人に輪姦されたことを、回想録に書き残している。当時の歌舞伎界はそういう世界だったのだ。

ジャニー喜多川氏や市川猿之助さんの同性へのセクハラ事件が、世の中を騒がしている一方で、女性たちの間ではボーイズラブ、略してBLの小説やマンガ、ドラマなどが流行っている。BL作品の多くは美少年同士の恋愛や性愛を描いており、ジャニーズの歌や踊りの中にはBLの世界を連想させるようなものや、ドラマだとBLがテーマの作品もあり女性を中心に人気を博している。

テレビをつければ、オネェと言われるタレントも人気で、ある意味、同性愛や女装のタレントが違和感なくお茶の間に入ってきている国は、日本とタイ国くらいではないだろうか。

芸能界では戦後になると、LGBTQが話題になるはるか以前から美輪明宏さん、ピーター(池畑慎之助)さん、カルーセル麻紀さんと言った性を超越した人がスターになっている。これも歌や踊りなどの芸事に、古くから同性愛者が受け入れられてきた伝統があったからだろう。

だからといってジャニー喜多川氏のような犯罪行為は決して許されるわけではないと、一言付け加えておく。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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