岸田総理の「何もしない」選挙作戦は大成功?

政治・2022-06-30 18:21
岸田総理の「何もしない」選挙作戦は大成功?
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以前より「外遊好き」と言われていた岸田総理だが、参院選の真っ最中に、ドイツで開催されたG7サミット(26~28日)や、スペインでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(29~30日)と、立て続きに各国首脳と会い、マスコミにも登場している。

野党やマスコミの中には、選挙中の外遊を「これは選挙対策だ。毎日テレビに出て宣伝になるからな」という人もいるが、仮にそうであったとしたら、岸田総理の「外遊以外何もしない選挙作戦」は成功していると言えよう。

岸田総理は、菅前総理から首相のバトンを受け取ってから、極力なにもやらず、野党から突っ込みを入れられたとしても、戦わずにあっさりと引っ込めるという作戦をとってきた。

安倍元総理のときは、野党に挑発的なことを言ったりして、野党も叩きやすかったのだろう。菅前総理のときは、GoToキャンペーンを強引に進めようとしたり、コロナ対策のまん延防止策や緊急事態宣言の連続で、国民は菅総理に不満をぶつけていた。

しかし岸田総理になってから、1~2月に新型コロナ感染者は激増したが、弱毒化したためか、ほとんどの人は関心を失い、2月末のロシアによるウクライナ侵攻も、いまや報道される時間も激減した。

それでも岸田総理は、コロナに対して慎重な態度を崩さず、電力危機の中、原発再稼働に対しても、あまりハッキリしたことは言わず、「節電は無理せずに」と、国民に無理強いをしない。

そのためか、多くの国民にとって、岸田総理に対して、安部元総理や菅前総理のときのような不満も不安もあまりなく、せいぜい物価の心配くらいで、野党の攻めどころも物価ていど。ある意味運がいい人なのかも知れない。

選挙直前の細田衆議院議長の失言や、離党した元自民パパ活議員のスキャンダルも、それほどは参院選に影響を与えておらず、内閣支持率が落ちているといっても、むしろこれまでが、高すぎたと言えるくらいだ。

まだまだ何があるかわからないが、大方の予想では、自公で過半数の議席、さらには改憲勢力の維新も議席を伸ばしそうである。何も決めないと言われている岸田総理だが、案外したたかに計算しているのかも知れない。

外遊から帰国後、岸田総理はようやく全国を飛び回ることになる。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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