ヤクザに世襲組長はいないのに政治家は?

政治・2021-01-04 18:53
ヤクザに世襲組長はいないのに政治家は?
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ドラマや漫画の世界では、暴力団組長の息子が2代目を継ぐなんて話が結構ある。しかし現実の世界では、まあないそうだ。ヤクザは組長であったとしても継がせたくない仕事なのであろう。

では政治家の世界はどうかというと、自民党の国会議員のうち世襲議員は3割ほどいる。これは親が国会議員のみの例で、親が地方議員とかだともっと多いのかもしれない。ちなみに先進国の世襲議員は1割程度。

自民党に限っていえば、戦後歴代総理大臣で見てみると、地方議員を含めた場合、親や親族が政治家でないのは、海部俊樹氏と菅義偉現総理しかいない。同じ与党でも公明党に世襲議員の習慣がないところを見ると、自民党銀議員は政治家が「家業化」しつつあるのかもしれない。

さらにいえば、世襲議員はそうでない議員に比べると選挙がはるかに楽。世襲議員はいわゆる三バン,政治資金(カバン)・知名度(カンバン)・後援会組織(ジバン)を引き継ぐことができるので,世襲ではない新人議員に比べると圧倒的に有利なのだ。

政治家は我が子に後継ぎにしたがるのは、それだけオイシイからであろう。と、なると、今後も世襲議員は増え続ける可能性がある。

それどころか麻生家や安倍家のように、政界・財界・皇室などと政略結婚で結びつき、一族や血族の権力保持や増大を図っている人たちもいる。いわゆる閨閥(けいばつ)政治である。

また世襲議員は、最初から後援会を持っている。この後援会は単なるファンクラブではない。後援会員の多くは何らか利益があるから後援しているのだ。これが世襲となると既得権益となる。

既得権益を得ている人はその世襲議員に確実に投票する。「選挙に行っても世の中変わらない」と選挙に行かず、投票率が下がれば下がるほど、世襲議員は強くなる。

もしかしたら世襲議員をもっとも応援しているのは、そんな選挙に行かない人たちなのかもしれない。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

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