「おぐらが斬る!」人生は楽しむためにある。不安で制限しすぎるのはもったいない

社会・2023-07-06 23:47
「おぐらが斬る!」人生は楽しむためにある。不安で制限しすぎるのはもったいない
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大脳が発達した人間は、いつも先のことを考える。先のことというのは、まだ誰も知らないわけだから「もし~になったらどうしょう・・・」と、不安になるのが普通だ。

だから我々は老後のためにお金を貯めたり、将来のために「いま」の楽しみを我慢したりする。

ある人は「将来のために」いろいろな保険に入り、いま健康なのに「この先病気になったらどうしよう」と、健康に気を使い、味気ない料理を食べ、お酒などの楽しみを制限している人がいた。

しかし彼はある日うつ病になり、やがて自殺してしまったのだ。彼の人生はそれで良かったのだろうか?

なんでも日本人は65歳になるまでに10人に1人が死に、70歳を過ぎる頃には5人に1人が死ぬそうだから、若い頃から「老後のために」と若いときにしかできないような楽しみを制限するのは、いかがなものだろう?

日本人というのは、世界で一番心配症、つまり不安を持ちやすい脳を持っているらしい。なんでも不安遺伝子というものがあって、その保有率は、日本人80.25%、中国人75.2%、スペイン人46.75%、アメリカ人44.53%、南アフリカ人27.79%であるという。

これは遺伝なので、身長と一緒で努力では変えられないらしい。不安を感じやすい人というのは、不安だからあらかじめ入念に準備をしておくとか、前もって練習を重ねておくといった利点もある。不安は必ずしも悪いことではないのだ。

また不安とは警戒警報なのだ。この仕組みがあるおかげで、人間は危険を素早く察知し、生き残ってきた。とはいえ、不安が強すぎると、恋をしても告白できず、何かに挑戦しようと思ってもできないなど、なにも出来なくなってしまう。

ある精神科医によると、不安は理性でコントロールできるという。不安は脳の偏桃体という場所で起こるが、理性の場である前頭葉の働きで、偏桃体の反応を抑えることができるそうだ。

ではどうするのか? 不安というのは漠然としたものが多いが、理性を使ってなるべく明確にしていく。ある程度不安の原因がわかったら、不安が的中しないように、準備をする。
受験生が受験の不安を感じるだけで何もしなかったらどうだろう。普通不安を的中させないために勉強をする。すべての不安の対処はそれと同じだ。

また不安を人に話すというのはとても効果的だ。人に話すだけで安心する人がいるという。

ある大学の研究で、心配事の80%は起こらないという調査結果がある。残り20%のうち16%は準備をしていれば対応でき、4%は準備のしようがないものだそうだ。

人生は楽しむためにある。それを不安のために大幅に制限するなどあまりにもったいない。

だがそれでも、不安で苦しくて仕方がないというひとは、メンタルヘルスに相談してみてはいかがだろうか。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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